アプリで誘導、ぼったくりか 歌舞伎町のバー 風営法違反容疑で女ら逮捕
東京・歌舞伎町のバーで許可なく接待を行ったとして、警視庁新宿署は風営法違反の疑いで、従業員の中沢美亜容疑者(22)=練馬区上石神井南町=ら女3人と男1人を現行犯逮捕した。女らはバーの従業員で、マッチングアプリで知り合った男性を店に誘い込み、ぼったくりを繰り返していた疑いがある。 【イラストで解説】多発するマッチングアプリを悪用したぼったくりの例 同署によると、中沢容疑者ら女3人はそれぞれ、新宿駅近くで20代の男性3人と待ち合わせ、「以前入れなかった店に入りたい」などと言って店に誘導。高額を請求して男性に支払わせようとしていたとみられる。 女の一人は、男性の支払額の20%を店から受け取り、1回で16万円を得たこともあると供述。店は他の客が入ってこないよう普段はドアを施錠し、数カ月単位で場所を転々とさせていた。 逮捕容疑は23日夜、何者かと共謀の上、従業員であることを隠してマッチングアプリで集客した男性に無許可で接待をしたとしている。4人のうち2人は容疑を認め、2人は「弁護士が来るまで話しません」などと黙秘している。 ■500万円請求の事例も 歌舞伎町エリアでは、男性がマッチングアプリで知り合った女性に連れていかれた飲食店で高額請求を受けるトラブルが多発している。新宿署管内では昨年、約360件の被害相談が寄せられ、請求額は2億円を超えた。今年10月までの請求額は約1億4000万円で、相談者は20~30代が9割以上。請求の最高額は約500万円だった。 主な手口はこうだ。女性がアプリで知り合った男性を自身が働く店に誘導し、飲み放題コースを指定。トランプなどを使ったゲームで「負けたら一気飲みしよう」と提案し酒を大量に注文する。しかし、会計の際に店側から「この酒は飲み放題の対象外」などと告げられ、数十~数百万円を請求される。 男性にはATMで現金を引き出させるなどし、会計までの対応で営業が滞ったとして追加料金を請求する例もある。女性は「後で払う」「知り合いにお金を借りてくる」などと言って、その後連絡が取れなくなるという。 中沢容疑者らは秘匿性の高いアプリで待ち合わせ場所などの指示を受けていた。また、アプリ上で男性とやりとりをするのはバーの従業員とは別の人物とみられており、同署はさらに上位の指示役などがいるとみている。署の担当者は他にも同様の店があるとみて調べるとともに、「相手を安易に信用せず、料金体系を自分の目で確認し、不当な請求をされたと思ったら110番通報をしてほしい」としている。(橋本愛)