【解説】米が「ジェノサイド」認定した中国のウイグル弾圧 ~AI使用した監視システムとは~
こうした宗教的弾圧も含めたウイグルの状況について、アメリカ政府は2021年にウイグルの人たちに対する「ジェノサイド」(=大量虐殺)だと認定し非難している。 こうした厳しい人権弾圧が行われているとの指摘・証言が多くある中、中国政府は弾圧との指摘について「今世紀最大のデマ」、「数々の流出資料や証言も全てねつ造やウソだ」と主張している。さらに2019年には施設に収容されていた人たちは「全員卒業した」と述べ、施設の運用を終えたとしている。 しかし、ゼンツ博士は、収容施設に入れられた人で今にいたるまで行方が分からないままの人が大勢いると指摘する。 さらに、日本に住むウイグルの人の中には今でもなお、新疆にいる家族に連絡すると家族の身を危険にさらすことになると話す人もいる。
千葉県でレストランを営むローズさんは「(家族が)今も拘束されてるか分からない。自分の家族が生きているかも分からない」「ウイグル人みんなに電話したけど出ない、唯一出た人には『なぜ電話するの?死んでほしいのか?』と言われた」と証言する。
日本ウイグル協会会長のアフメットさんは「いつ家に警察が入ってくるのかわからない世界になってる。いつでも自分が連れて行かれる危険性はあるという恐怖心の中で人々が生活をしている」とウイグルの人々の心境を語る。アフメットさんはまたこの問題の解決には「外部からの圧力」が不可欠だと訴えた。
●中国…“多数派工作”で批判封じ込め
しかし、去年10月には国連人権理事会でウイグルの人権弾圧を正式に議題として取り上げることを西側諸国が提案したが、否決された。これは中国に近いとされるアフリカや中東諸国が反対したためだ。 今や世界第2位の経済大国となった中国は、経済支援により途上国を中心に影響力を拡大している。これに伴い、中国が重要なポジションを務める国際機関では、中国の不利益になる問題は議題になりにくい側面もある。
●日本政府が示す「懸念」
2023年4月の日中外相会談で林外務大臣は、ウイグルの人権弾圧について、日本政府は「深刻な懸念を表明した」と述べた。日本政府はこの「深刻な懸念」という表現をここ数年繰り返している。 アフメットさんは、日本について「ウイグルの人々に対するジェノサイド(=大量虐殺)であると認定することなどさらに踏み込んだ圧力をかけてほしい」と強調した。 出典:Victims of Communism Memorial Foundation https://www.xinjiangpolicefiles.org