イエレン米財務長官、米企業への中国の「強圧的」動き非難-改革促す
(ブルームバーグ): イエレン米財務長官は米企業やその他の外国企業を中国政府が「不公平」に扱っていると非難し、中国がかつての市場改革に立ち返るよう求め、4日間の訪中を始めた。
イエレン氏は5日、訪問先の広州市でスピーチし、中国は「外国企業へのアクセスに障壁を課し、米企業に対して強圧的な行動をとるなど不公正な経済慣行」に関与してきたと指摘し、「私は今週の会合でこれらの問題を提起するつもりだ」と語った。
米中関係は昨年11月にバイデン米大統領と習近平中国国家主席が直接会談して以来、改善の兆しを見せている。両首脳は2日にも電話で会談した。
しかし、根深い意見の相違は依然として残っている。国内経済を低迷させている不動産に代わる成長の原動力として、中国が製造業への投資を強化しようとしていることが対立を深めている。
米国と同盟国は不公正な競争環境を非難し、中国は欧米が自国の非効率な産業を守ろうとしていると主張している。
習政権にとってイエレン氏の訪中は、11月の米大統領選前に米国の政策に影響を与え得る最後のチャンスでもある。大統領候補のトランプ前大統領はすでに、当選すれば中国製品に60%の関税をかけると有権者にアピールしている。
イエレン氏は、製造業と輸出産業の中心である南部広東省の主要貿易拠点、広州を最初の訪問地に選んだ。同氏は1992年当時の中国最高指導者、鄧小平氏が広州などを訪れ改革・開放を呼びかけたいわゆる「南方講話」を、中国の市場経済化の重要な節目として強調し、中国の現指導部が改革に再び力を注ぐよう促した。
過剰生産能力
在中国米国商工会議所主催のイベントでの発言でイエレン氏は、中国国内で米企業の3分の1が現地の競合他社と比較して不当な扱いを受けているとの同会議所による最近の調査を引用。
「このような不公正な慣行を終わらせることは、中国のビジネス環境を改善させることで中国に利益をもたらすだろう」とし、多くの米企業が「中国が市場アプローチから離れる影響」を懸念していると説明した。