ジョブズが成長した瞬間。ピクサー共同創業者が語る「Apple追放から復帰、iPhone発売までの変化」
失敗の先に待っていたのは
それでは、ジョブズは何が変わったのでしょうか。 それは、「共感」です。 共感のいちばん簡単な定義は、他者の感情を理解し、それに寄り添う能力です。考えてみると、共感は成功したリーダーにとって、もっとも重要な特性かもしれません。 しかし問題は、共感が優れたリーダーと結びつくものとして常に考えられるわけではないという点です。 代わりに、リーダーが成功するためにはどれほどタフで、残忍でなければならないかという話をよく耳にします。 キャットマルによれば、共感は学べるものだそうです。少なくとも、ジョブズは共感を学んだのです。 私が気付いたのは、人が年を取るにつれて共感を学ぶことはない、つまり共感力がある人とない人がいる、という当初私が抱いていた認識が間違いだったことです。 スティーブと最初に出会ったころ、彼を共感力があるとは思えませんでしたが、彼は変わりました。 彼の人に接する態度、対話の仕方、話を聞く姿勢、気遣いの仕方、すべてが変わったのです。 それはジョブズが要求を緩めたという意味ではありません。 キャットマルによれば、ジョブズは周囲の人々に対する見方を変えました。彼は依然として完璧主義者でしたが、自分の期待に応えられなかった人々への対応が変わったのです。 何よりも重要なのは、ジョブズは、共感力のおかげで顧客の立場に立つことができたということです。 彼は身に付けた共感力のおかけで、製品をどう使い・楽しむかによって顧客の意思決定が左右されることを理解できるようになったのです。 そしてついに、ジョブズが亡くなるまでには、Appleは地球上でもっとも価値のある企業となっていました。 それが主にiPhoneのおかげだと言うのは簡単ですが、iPhoneが存在するのは、ジョブズが人々の個人的なテクノロジーの楽しみ方に大きな欠陥を発見し、それを埋める方法を理解したからです。 その過程で、彼はAppleの従業員を鼓舞し、もっともパーソナルなコンピューターを通じて世界と交流するために今までにない方法を構築しました。非常に困難な仕事を成し遂げさせることができたのです。 Source:Redwood Bank, YouTube Originally published by Inc. [原文] Copyright © 2024 Mansueto Ventures LLC.
真栄田若菜/OCiETe