<9年ぶりの春―鳴門>第94回選抜高校野球 支える人々/上 マネジャー /徳島
◇勝利信じお守り作製 乾笑花さん(1年)、阿部未波さん(1年) 「休み無く練習し、部員みんなで平等に整備や片付けもする鳴門は最高のチーム。全力を出して1回戦を突破してほしい」。18日に開幕する第94回選抜高校野球大会に出場する鳴門。清掃や備品の洗濯、強化食の準備に公式戦の記録管理など、多岐にわたる業務でチームを支えるマネジャーの乾笑花(えみか)さん(1年)と阿部未波さん(同)は、手作りのお守りを手に力を込めた。 父がOB、4歳上の姉もマネジャーを務めるなど、鳴門野球部が身近な存在だったという乾さん。「お姉ちゃんは晩ご飯の時しか会えないくらい忙しそうだったけど、充実している様子が分かった」。自分も野球部員をサポートしたいと、入学前から入部を決めていた。 一方、同じクラスの阿部さんも、3歳上の兄が野球部。「尊敬する兄が早朝から夜遅くまで練習する姿を見て、野球で頑張っている人を近くで支えたいと思った」。しかし、勉強との両立を心配する両親や祖母から反対され、一時は諦めた。 「こんなにやりたいと思っているのに、もったいない」。同じクラスで阿部さんの思いを知っていた乾さんはそう感じ、顔を見る度に「いつ入るん?」と誘った。「未波が後から『入っとったら良かった』と後悔しないで、『ほんまに入って良かった』と思えるよう、二人で頑張れたら」。熱意に背中を押され、阿部さんは10月、それまで通り勉強も頑張ると家族を説き伏せて入部。練習後の夜9時からの学習塾通いはつらい時もあるが、「部員の一生懸命な姿を見られるのがうれしいし、仕事にやりがいを感じる」と笑顔だ。 センバツに向け、2人はハンバーガーと野球ボールをモチーフに、部員と指導陣全員分のお守りを43個作製。動画サイトで折り鶴の作り方を調べ、必勝を祈る千羽鶴も1500羽用意した。初戦の相手は強豪・大阪桐蔭。阿部さんは「鳴門も昨年秋に明徳義塾(高知)を倒したチーム。みんなが全力を出せば、1回戦を突破できると信じている」。乾さんも「夏以降磨いてきた打力を武器に、積極的に打って点を取り、鳴門が負けると思っている人に『すごい』と思わせるプレーをしてほしい」と願った。【国本ようこ】 ◇ 鳴門の硬式野球部には、選手とともに汗をかき、笑い、涙を流す仲間やスタッフがいる。甲子園を目指す選手らを支える人々を2回にわたり紹介します。