WHITE SCORPION連載【第4回】NATSU「誰かに衝撃を与える存在になりたい」
’23年4月から約半年間にわたって行われたオーディション『IDOL3.0 PROJECT』を経て結成された秋元康総合プロデュースのアイドルグループ「WHITE SCORPION」(ホワイトスコーピオン)。 【画像】か、かわいい…!NATSUの美脚が輝くポートレートカット ’23年12月7日に配信シングル『眼差しSniper』でデビュー。毎月新曲を発表し、3月7日には4th配信シングル『雑踏の孤独』のリリースが控えている。 そんな彼女たちのパーソナルな素顔に迫るスペシャル連載がスタート。 連載第4回は、NATSUのロングインタビューをお届け! ◆2度の絶望を味わったオーディション ──昨年12月のデビューから約3ヵ月が経ちましたが、今は率直にどんな気持ちですか? 「正直、デビューが決まった時は実感がありませんでした。デビューシングル『眼差しSniper』のリリース直前イベントで初めてファンの方々の前でパフォーマンスをしてからは、ようやく実感できています。やっとアイドルとしてステージに立てているんだって」 ──NATSUさんがアイドルを目指したきっかけは? 「中学1年の時に、部活をサボってフェスの『サマーソニック』に行ったんです。目当てはamazarashiさんだったんですけど、その日は欅坂46(当時/現・櫻坂46)さんも出演していました。そこで欅坂46さんの『二人セゾン』を聴いて、本当にいい曲で、こんなに美しく音楽を奏でる存在がアイドルなんだって感動して、アイドルを目指そうと決めたんです」 ──そして、前所属事務所のWACKのオーディションを受けて合格し、育成グループのWAggに参加。BiSHやBiS、GANG PARADEなど、先輩グループのメンバーに昇格することを目指すアイドル活動がスタートします。 「それが中学2年の時です。その前にも他のオーディションを受けたり、WACKと同時期に欅坂46さんのオーディションに書類を送ったりもしていました。そんな中でWACKのオーディションに受かって、選んでいただいたならそういう運命なんだと思って、WAggで活動することにしました。でも、’22年の10月にWAggの活動が終了してしまって」 ──しかし、そこでアイドルを諦めることはできなかった。 「生きていたら、いろんな選択があると思います。私の場合はアイドルじゃなくなったのが高校3年生の時だったので、就職するとか、大学に進学するとか。でも、ちょうどその時期に京セラドームで『KCON』という韓国のアイドルさんが出演するフェスを見たり、他にもいろんなアイドルさんを見ていて、自分ももっとステージに立ちたかったという未練、やりきれない思いがありました。それで再びアイドルを目指し始めた感じです。そんな時にWHITE SCORPIONのオーディションを知りました。たしかインスタグラムの広告で知ったと思います」 ──すぐに応募したんですか? 「はい。迷いなく、すぐに応募しました」 ──オーディションを振り返って、忘れられない出来事を教えてください。 「オーディションの途中で、2度の脱落を経験したことです(114名が参加した合宿の1stステージ、2ndステージともに審査を通過することはできなかった)。一度目の脱落で絶望して、二度目の脱落でも絶望して。でも、2度とも“ホワイトナイトシステム”(今回のオーディションで適用された、ファンによる投票で脱落者が復活できる制度)で再チャレンジするチャンスをいただいて、今ここにいます。私は2回脱落しているので、1回目にホワイトナイトシステムで復活させていただいたのに、2回目の脱落でまたファンの方に応援してもらうことが心苦しかったです」 ──そういう経験をしたからこその、強い気持ちも生まれたんじゃないでしょうか? 「ホワイトナイトシステムで2回も復活させていただいたことで、自分の中のアイドル像が変わりました。以前は自分一人だけで完結しているというか、すでに完成されたちょっと手が届かない存在が、アイドルの理想像だったんです。でも、ホワイトナイトシステムでの復活を経験してからは、ファンの方たちの手を借りながら、みんなで作り上げていくアイドルもいいんじゃないかと思えるようになりました」 ──オーディションを通して、成長した部分があると思います。 「“気持ちを切り替えること”に関して、自分の中ではけっこう成長できたのかなと思います。起きてしまったことはもう仕方がないから、次。これから起こることに気持ちを向けようって。アイドルとしてまたステージに立つ、デビューするという夢を叶えたことで、過去の苦い思い出も受け止められるようになったかなと思います」 ──逆に、オーディションを通して見つかった課題はありますか? 「オーディション後のことですが、振付師さんなどによく言われるのは『NATSUは、自分のいいところを認めようとしない』ということなんです。私はよく歌を褒めていただくんですが、もっともっとすごいアーティストさん……たとえばあいみょんさんとか、Da-iCEさんとか、そういう方々と比べたら、自分なんてまだまだだって思っちゃって。でも『他人と比べないで、自分のいいところは認めなさい』って言っていただくので、そこは課題ですね。これでも少しずつ、他人と比べずに自分を認められるようにはなってきているとは思うんですけど」 ──自分以外のWHITE SCORPIONのメンバーを含め、今は本当にたくさんのアイドルが活動しています。その中で、自分のアイドルとしての武器、個性はどこにあると思っていますか? 「音楽への愛、ですかね。他のアイドルさんよりも強いという自信があります。歌うし、作るし、聴くし。この愛は、小学生時代に家に引きこもりがちだった時期からずっと続いています。当時は学校から帰ってきたらまずパソコンを開いて、ニコニコ動画。そこでボカロPのNeruさん(Adoの楽曲『阿修羅ちゃん』の作詞・作曲者)を知って、好きになって。Neruさんの動画で『この曲、amazarashiっぽい』っていうコメントを見て、amazarashiさんに出会いました。それからはずっと音楽が大好きです。高校の成績も、音楽だけは10段階評価で10だったんですよ。他の教科は、3とか2なのに(笑)」 ──ずっと大好きな音楽には、どんな魅力を感じているんでしょうか? 「衝撃、だと思います。音が耳の中で響く、あの感覚が好きです。音楽に衝撃を受けると、変身できるなって思います。ここじゃないどこかで、自分じゃない何かになれたような。音楽を聴いているだけで一日が終わっちゃうようなことが今でもありますけど、その時間だけは、日常とは違う世界で心を休めることができるのかなと思います」 ──どんどん忙しくなっているとは思いますが、プライベートでは何をしている時間が一番幸せですか? 「曲を作っている時間です。いつか発表できたらいいなと思っています。それに、YouTubeをテレビにつないでひたすら音楽を流している時間も幸せです。自分に影響を与えてくれたボーカロイドの音楽をよく流して聴いています。あとは、ロック。高校3年生の時、音楽の授業でロックの歴史を学んだことがきっかけで、洋楽ロックも聴くようになりました。授業ではエルヴィス・プレスリーやKISSを知ったんですが、その流れでQUEENも知って、今は毎晩QUEENの『キラー・クイーン』を聴いています。聴いていると脳みそが溶けていく感じがして(笑)、すごく心地いいんです」 ──本当に音楽が好きなんですね。音楽以外には、どんなものに触れていますか? 「ルーティンみたいな感じなんですけど、毎日寝る前に読書をしています。ビジネス書も読みますし、小説も読みます。小説家では筒井康隆さんが好きです。アニメ映画の『パプリカ』で知って、原作を読んでみたくなったのがきっかけです。それから、猫を飼っていて『ねこ検定』という資格を持っているんですが、今はまだ初級なので、上級を取得するのを目標に勉強しています。“『ねこ検定』上級アイドルです!”って言えるように。初級は、トイレをどこに置くのが適切かとか、そういうことを理解しているかどうかで取得できるんですけど、上級になると法律まで関係してくるんですよ」 ◆アメリカにいる姉にステージを見てほしい ──WHITE SCORPIONのメンバーとしての、今後の目標も教えてください。 「グループとして掲げている目標は世界に進出することですが、個人的にはその前に、日本武道館のステージに立ってみたいという目標があります。今までいろんなアイドルさんが武道館を目指す姿を見てきましたし、歴史あるあの場所で、自分たちの音楽を届けることができたらって」 ──世界進出はとても大きい目標だと思いますが、今はどんなイメージを持っていますか? 「私は日本から出たことがないので、どういう景色が広がっているのか想像がつかないですが……アメリカにはぜひ行ってみたいです。姉がバレエダンサーで、今アメリカに留学しているんですよ。なので、WHITE SCORPIONでアメリカに行ってライブをして、そのライブを姉が見にきてくれたら嬉しいです!」 ──WAggで一緒に活動していたNICOさんと、WHITE SCORPIONで再会を果たしました。 「奇跡ですよね。WACKを辞めた時、NICOは『もうアイドルはやらない』って言っていたから、WHITE SCORPIONの3次審査で会った時は本当にびっくりしました。『なんでいるんだ?』って(笑)。私がオーディションで脱落して落ち込んでいた時に、NICOは『まだ次があるから』って言ってくれたり、彼女の芯が強い部分に支えられたなと思います。今はずっと戦友だと思っています」 ──今後は、どんなアイドルになりたいと考えていますか? 「自分が大好きな音楽のように、誰かに衝撃を与えられる存在になれたら最高だなと思っています!」 PROFILE NATSU 7月16日生まれ、神奈川県出身。 趣味:カラオケ・読書・UFOキャッチャー 特技:楽曲制作・10秒キャッチフレーズ・猫についての知識を言うこと 取材・文:大久保和則
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