〝都会の生徒〟松阪牛を学ぶ 三重・多気町の店で
東京の「食の熱中小学校」がツアー
一般社団法人・熱中学園(東京都)が運営する、生産者と消費者を結んで食べる楽しさを学ぶ大人の学びや「食の熱中小学校」(柏原光太郎校長)の首都圏の生徒や関係者8人が26、27の両日、授業の一環で三重県多気郡多気町や伊勢市を初めて訪れ、松阪牛など生産者から直接話を聞いた。 熱中小学校は、2015(平成27)年に内閣府の地方創生交付金を活用して始まった、廃校などを用いた大人の学びの機会をつくるプロジェクトで、国内16校、海外1校を展開する。「もういちど7歳の目で世界を…」をコンセプトに、10~80代の幅広い世代が、地方創生や活性化などをテーマに、IT企業社長や大学教授などさまざまな講師陣から学び、6学年を3年間で修了する。また、各地方に赴き、直接生産者の話を聞くツアーも開催している。 今回の「授業」では26日に伊勢市の伊勢神宮を訪れた後、多気町に移動。㈲松本畜産が運営する前村のお肉料理カフェ「カフェまつもと」で、松阪牛の歴史などについて、5代目の松本一則さん(66)としのぶさん(60)夫婦の話を聞いた。 一則さんはまず、和牛について▶黒毛和種▶褐毛和種▶無角和種▶日本短角種──の4種類があることを説明。松阪牛は黒毛和種に分類され、特産松阪牛は兵庫県内、特に但馬地方の子牛にこだわり、松阪地区で900日以上の肥育期間がある牛のみに限られることなども紹介した。 100年以上にわたって畜産業を営む生産者ならではの視点から、子牛を購入する時は背筋が真っすぐになっていることや、口を大きく開けて餌をたくさん食べられる大きな顔の子牛を選ぶことなども解説された。 生徒たちは実際に牛舎も訪れ、肥育環境や牛の様子を、一則さんの案内で興味深そうに見て回った。同行した柏原校長(61)は「生産者から直接話を聞くことで、松阪牛や特産松阪牛について理解を深められた。都会は何でもあるように見えるが、地方は圧倒される魅力を持っている」と話した。 一行は、ヴィソンのVISONで1泊した後、28日に丹生の「せいわの里まめや」や丹生大師などを見学して帰路に着いた。