矢部太郎の「光る君へ」ユニークなイラスト話題!「リアルタイム視聴が鉄則」
第5回でまひろが道長と密会するシーンは廃邸だったのが、矢部の絵では情景が竹林へと変えられている。「あれは初回で道兼がちやはを刺した時の話をまひろ様が道長にお話するところですよね。だから、その時の竹林と廃邸を重ねて描いたという。伝わらないかもしれませんが、僕はそういうふうに感じてそういう絵にしましたけども、わからなすぎたかもしれないなと反省していました」
絵のテイストは話ごとに異なるが、総じて貫いているのが「ユーモア」。第18回では清少納言とまひろが巨大なかりんとうの上で歓談する絵になっている。「物語の中では悲しいことがいっぱいあるから、ユーモアのある絵もあったらいいかなと思って。かりんとうは、単純に美味しそうだなと思ったというのもあります。食べたいなって(笑)」
絵はなるべく放送日に描くようにしているというが、あらかじめ試写などで作品を視聴することなく視聴者と共にリアルタイムで視聴してから描くのがマイルールだと矢部。一回につきどのぐらいのスパンで描き上げているのか?
「BSなどで観られたら早く描けるのですが、観られなかったら本放送が終わってからですね。すぐに絵が思いつくかはケースバイケースです。描けないで寝て、でもなんかやっぱり描こうかなと思い立って描き出す……とかいうときも。皆さん、放送を観て描いていらっしゃるので僕も、基本的には放送を観て描いていますね。本当は完パケ(完成した作品)があるから早く観られるんだけど、それってずるいじゃないですか」と、あくまで視聴者目線を貫いていることを強調した。
現在、矢部の初の大規模展覧会「ふたり 矢部太郎展」が立川・PLAY! MUSEUMで7月7日まで開催中。80歳を超す大家さんとの出会いから別れまでを描いた漫画「大家さんと僕」(2017)をはじめ、父である絵本・紙芝居作家やべみつのりとの思い出など幼少期の作品も展示されている。(編集部・石井百合子)