年間50万円以上増える 市議の報酬引き上げへ 埼玉・戸田市 30年据え置き「実質的な賃下げ」 審議会「妥当」の判断、議員定数削減検討も指摘
埼玉県戸田市が市議会9月定例会に提案している、議員報酬引き上げに関する条例改正案が10日の市議会総務常任委員会で可決された。来年4月以降、市議会議員の報酬が約30年ぶりに引き上げられる。 市職員の大量退職も起きていた戸田市 22年度35人、5年で100人超 給与、県内市町村平均下回り待遇に不満か
戸田市議会議員の給与について定めた「戸田市議員報酬及び議員の費用弁償等に関する条例」によると、戸田市議の現在の月額報酬は45万円。 条例改正案では議員報酬を2025年4月以降、月額3万9千円(約8・7%)引き上げ、月額48万9千円とすることを提案。年額換算では議員1人当たり年間46万8千円増で、また、年2回の期末手当(ボーナス)も増額後の月額報酬に乗じて支払われるため、年間50万円以上の報酬増となることが見込まれる。 市によると市議の報酬は1994年10月の改正以降、約30年にわたって据え置かれており、市議会は5月、市長に対し、適正な報酬額について話し合う「市特別職報酬等審議会」の開催を要望。 7月に行われた同審議会では「前回の報酬額見直しから30年据え置かれているにもかかわらず、物価は上昇していることから、実質的な賃下げと同じような状況となっている」とし、併せて戸田市の財政力、議会活動の活発さなどを加味して報酬額引き上げを妥当と判断。また「報酬額を引き上げる代わりに、議員定数の削減も合わせて検討すべき」とも指摘している。
9、10日に行われた同委員会では出席委員から「物価高騰が報酬増の理由ならば市民も同じ状況。なぜこのタイミングか。なぜ議員だけか。市民の理解は得られない」とする発言や「将来の市議会を考え、しっかりとした議論はできた」などの発言があり、10日の採決では賛成多数で委員会可決。今月25日、9月定例会最終日の本会議採決でも可決が見込まれている。