内田日銀副総裁の発言で米ドル/円は「1ドル150円」目前だが…為替のプロが冷静に見極める「円安の限界」
今週の注目点…米経済指標発表で米金利は上昇するか?
上放れた相場は、これまでのレンジの上限にサポートされて上値トライが続くのが基本です。その意味では、これまでのレンジ上限、148円半ばにサポートされている限り、米ドル上値の模索が続く可能性が高そうです。 ただ少し気になるのは、このところ日米金利差から米ドル高・円安へのかい離が目立ってきたということ。とくに、2023年末までの両者の関係からすると、最近は金利差拡大に比べて米ドル高・円安の動きが大き過ぎる感じがあります(図表3、4参照)。大幅な金利差を収益機会と位置付けて金利差で正当化される以上に米ドル買い・円売り取引が拡大しているかもしれません。 今週は、下記のように注目度の高い米経済指標の発表が多く予定されています。これらの結果を受けて米金利が上昇し、日米金利差拡大が米ドル高・円安を裏打ちできる動きになるかに注目です。 〈13日〉 1月CPI総合……前回3.4%、予想2.9% 同コア……前回3.9%、予想3.7% 〈15日〉 1月小売売上高……前回0.6%、予想0.1% 2月NY連銀製造業景気指数……前回-43.7、予想-10 〈16日〉 1月PPI総合……前回1% 同コア……前回1.8% 今のところ、CPI(消費者物価指数)などのインフレ指標は前回より上昇率が低下し、インフレ是正の進展を確認するといった予想になっています。そういった予想通りの結果となり、米金利が上げ渋るようなら、米ドル上値模索も限られるでしょう。 以上を踏まえて、今週の米ドル/円の予想レンジは148~151円で想定します。 吉田 恒 マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長 ※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
吉田 恒