伝統の「合わせ網漁」でサケ確保 福島県楢葉町の木戸川 全量をふ化事業に活用
福島県楢葉町の木戸川漁協は28日、河口周辺で伝統のサケ漁「合わせ網漁」を行った。全国的な不漁が続いており、今回捕獲したのは23匹だった。木戸川全体の今季の捕獲量は52匹で、最小だった昨年に比べて増加傾向という。漁協は販売所を開かずに漁獲したサケは全てふ化事業に活用する。 合わせ網漁は下流に設置した網に向かい、上流から網で追い込んで捕獲する伝統の漁。組合員約10人が川の中に入って100メートルほどの距離を追い込み、体長約60センチのサケを捕まえた。 最盛期には一度の漁で数千匹を捕獲したという。木戸川では東日本大震災発生前は1千万匹を超える稚魚を放流し、年間10万匹前後の漁獲量を誇った。東京電力福島第1原発事故発生後に稚魚の放流を中断した影響から漁獲量は大幅に減少し、昨年は124匹だった。 サケは4年後に放流した川に戻るとされる。漁協鮭ふ化場の鈴木謙太郎場長は「近年は稚魚の放流数を増やしている。漁獲量もこれから増えていくと信じて事業を進めたい」と話した。木戸川のサケ漁は11月中旬まで行われる予定。