中国、低迷する不動産市場の支援に向け大規模な措置を発表
(ブルームバーグ): 中国は住宅ローン金利の下限を撤廃するとともに、住宅購入者の頭金比率の下限を引き下げると発表した。低迷する不動産市場の支援に向け、思い切った措置に打ち出した。
17日の声明によると、中国人民銀行(中央銀行)は住宅ローン金利の下限を実質的に撤廃。また、初めて住宅を購入する人の最低頭金比率を15%、2戸目の住宅購入者は25%にそれぞれ引き下げた。従来の比率はそれぞれ20%と30%だった。
国営新華社通信は何立峰副首相の発言を引用して、地方政府は商業住宅を適正な価格で取得し、手頃な価格の住宅に変えるべきだとの政府の考えを伝えた。
何氏は「不動産セクターは、大衆の利益と経済発展という大きな問題に関係している。地方政府、開発業者、金融機関の責任」を確実に果たす必要があると語った。
この日発表された政府統計によると、4月の住宅価格は前月比でここ10年で最大の下落率だった。
中国、住宅値下がりペースが4月に加速-新築も中古も記録的な下落率
易居研究院のリサーチディレクター、厳躍進氏は「これは中国における最も緩和的な頭金政策だ。中央政府が住宅購入の需要を本当に優先していることを示している」と語った。
何副首相は、開発業者の資金繰りのひっ迫を緩和する手段として、地方当局が売却済みで遊休状態の土地区画を買い戻すなどすべきだと指摘。また、手頃な価格の住宅と都市再開発、公共インフラ建設を含む、いわゆる「3大プロジェクト」を推進する必要性も強調した。
中国は2022年に全国の住宅ローン金利の下限引き下げを開始し、不動産市場の低迷が特に深刻な地方については独自の下限金利を設定できるようにした。こうした措置により、1-3月(第1四半期)の新規住宅ローンの平均金利は3.69%まで低下し、09年の統計開始以来最低となったが、購入需要を促進するには至らなかった。
一部のアナリストは、今回の措置がどれほど効果を発揮するかは施行次第で、まだ不透明だと指摘。北京を本拠とする香頌資本のディレクター、沈萌氏は「効果は消費者が活気を取り戻すかどうかにかかっている」とし、うまく実施されなければ「需要を刺激して構造的な好転を誘発する可能性は低い」と語った。