小学館の新文芸雑誌、創刊号は驚きの税込み510円……「小説を気軽に楽しんで」
11月29日には、刊行記念のトークイベントが東京・下北沢の書店で開かれ、作家の金原ひとみさん、小川哲さんが文芸誌の現状などについて意見を交わした。
小川さんは「小説雑誌を読んでいる人は少なく、作家の収入面のフォローの面が大きい」と指摘。「体力のある小学館が今後GOAT単体で黒字化することができたら、雑誌の革命になる」と期待を寄せた。
金原さんは創刊号掲載のラッパーのAwichさんの対談に触れ、「文芸だけで盛り上げていくのは難しいので、色んな分野と一緒に手を組んでいくのは効果的だと思う」と語った。
イベントはネット視聴も含めて200人以上が参加し、読者の関心の高さを感じさせた。次号は来年5月頃の刊行を予定しているという。
「スピン」◎河出書房新社 書き手多彩
河出書房新社は創業140周年となる2026年のカウントダウン企画として、オールジャンルの季刊雑誌「スピン」を22年に創刊した。16号限定で、現在9号まで刊行している。
声優の斉藤壮馬さんをはじめ、幅広い分野で活躍する書き手の文章を載せる。尾形龍太郎編集長(49)=写真=は「様々な文章に触れることで、読書の世界を広げることができる」と雑誌の意義を語る。
創刊号は初版1万部で、口コミで読者を着実に増やし、現在は1万8000部を発行する。「書店からの注文や定期購読もあり、おかげさまで好評です」
誌名には、「日常に読書の栞(しおり)を」をコンセプトに、忙しい日常に挟まって立ち止まらせる「栞=スピン」のような存在、日常に少しの「変化(回転=スピン)」を与える雑誌を目指すという思いが込められている。「中身の充実はもちろん、紙にこだわったグッズなども展開して、読者を増やしていきたい」