債券下落、強い米CPIでECBと英中銀の利下げ予想後退
(ブルームバーグ): 米国の消費者物価指数(CPI)上昇率が驚くほど高水準だったことを受けてトレーダーらは世界の金融政策見通しを急速に見直し、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)の今年の利下げ幅予想を縮小させた。
トレーダーは現在、ECBが今年実施する利下げを3回未満と予想。今週初めには4回目の利下げの確率も50%想定されていた。6月に最初の利下げが実施されることが基本シナリオであることに変わりはないが、もはや完全に織り込まれてはいない。英中銀については、投資家はもはや今年2回の利下げすら完全に織り込んではいない。
ECB利下げ観測が後退、今年の利下げ幅予想は75bp未満に
英中銀の利下げ観測が後退、年内の利下げ幅予想50bp未満に
ECBは11日に中銀預金金利を据え置く見通しだが、エコノミストはラガルド総裁の発言を注視している。10日に発表されたデータによると、米国のインフレ率は3カ月連続で予想を上回り、利下げに対する当局の慎重姿勢を後押しする結果となった。ECBはかねてから6月利下げの方針を示している。
市場の利下げ予想修正に伴い債券は下落。ドイツ10年債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.47%と3月前半以来の高水準となった。2年債利回りは3bp上昇の2.99%と昨年11月以来の高水準を付けた。
ドイツ2年債利回りが3bp上昇し2.99%、昨年11月以来の高水準
コメルツ銀行のストラテジスト、ハウケ・シームセン氏は「ラガルド総裁が6月の初回利下げ実施について再確認すれば投資家の神経を落ち着かせるだろう」と述べた。米国とは対照的に、ユーロ圏の経済データは「利下げを促しているようだ」と付け加えた。
欧州時間11日午前の取引で米国債はほぼ変わらず。10日にはここ数カ月で最大の下落を記録した。投資家は連邦準備制度が今年、9月を皮切りに2回だけ利下げをするとの見方になっている。