動かぬ植田日銀 追加利上げ見送りで再び円安「1ドル=160円」到来確実…1月も動けぬ恐れ
植田総裁は動かなかった。これで市場はまた、円安加速モードに入りそうだ。 日銀は19日の金融政策決定会合で、政策金利である短期金利の誘導目標を「0.25%程度」に据え置き、追加利上げを見送った。市場には利上げ観測もあったが、日銀は決断しなかった。 【写真】円安物価高の“A級戦犯”黒田東彦・前日銀総裁に「叙勲」のブラックジョーク 植田総裁は見送り理由について記者会見で、①賃金動向について、もう少し情報が必要②次期米政権の政策を巡る不確実性は大きい③基調的な物価の上昇ペースは極めてゆっくりしているので利上げを焦る状況ではない、などと説明した。インフレがゆっくり? どうも庶民感覚とは違うらしい。 「植田総裁の説明は苦しかったですね。日銀は先月末ごろまでは、12月に追加利上げするつもりで準備していた。植田総裁は11月28日の日経新聞のインタビューで『データがオントラック(想定通り)に推移している』と発言。利上げの環境が整ってきたと考えていた。ところが、どうも政治の横ヤリが入ったようです。石破官邸に『今、利上げをしたら中小企業が困る』と難色を示されたため、日銀は方針を転換した。ドル円は再び160円を目指すでしょう。これでは“官製円安”です」(経済評論家・斎藤満氏) 米国では18日、FRB(連邦準備制度理事会)のFOMC(連邦公開市場委員会)で、3会合連続の利下げを決定。しかし来年については、これまで4回としていた利下げペースが2回に半減される見通しだ。日米金利差は縮まりにくくなる。日銀の利上げ見送りを受け、19日円安は一気に3円も進み、5カ月ぶりに一時157円台に急落した。 植田日銀は、次の決定会合で利上げするのか。次回は年明け1月23、24日。20日のトランプ政権の再スタートの直後だ。トランプは前回同様、就任初日に追加関税の大統領令を発する可能性がある。そんなタイミングで、日銀はますます利上げしにくくなるのではないか。 「初日の関税引き上げに市場がどう反応するか。トランプトレードで米経済が悪化する不安はないものの、マーケットは混乱する可能性がある。そんな中で日銀が利上げできるのかどうか。そういう意味でも、12月は利上げのチャンスでした」(斎藤満氏) 市場には「次の利上げは遠のいた」との見方が広がっている。円安は160円じゃ止まらないかもしれない。