[山口県]所有者は音信不通…建物の半分が崩壊状態 萩市が初の行政代執行、倒壊進行の空き家撤去
萩市は17日、老朽化で倒壊が進行している同市浜崎新町の空き家1棟について、空き家対策特別措置法に基づき、所有者に代わって撤去する行政代執行を始めた。同市が行政代執行を実施するのは初めてで、5月末までに建物全てを取り除く予定。 市建築課によると、今回の空き家は木造平屋で、現在は建物の半分が崩壊し、建物の一部が強風で飛ぶなどして通行人らにけがを負わせる可能性がある。市は2013年7月に市民からの通報を受けて対応を開始し、一時は所有者が部分的に応急措置を行った。だが再度の自主的対応をするよう指導したところ、途中で音信不通に。昨年9月に特定空き家と認定し、2月4日までに所有者に対して建物を全て取り除くよう命令したが、応じなかったため行政代執行に踏み切った。 市土木建築部の中屋英典部長が現地で17日午前9時40分ごろ、「当該建物の除却および敷地内残置物の撤去工事業務に着手します」と宣言。市職員らは玄関の南京錠を壊した後、仏具や現金、印鑑が建物内に残っていないかを調査していた。19日から業者が本格的に解体作業を始めるという。 中屋部長は「このたびの物件はこれまで何度も萩市の方から助言や指導を行ってきたが、対応してもらえなかった。これからも萩市としてできることを行い、環境整備に努めていく」と話した。市は費用分約140万円を所有者に請求する。 市建築課によると、2021年度時点で市内には空き家が約2900件あり、うち老朽度の高いのは約370件という。