断水で命を落とした牛たち「地震さえなければ…」能登牛の生産者が苦渋の決断
能登半島地震で被災した石川県能登町では、廃業を余儀なくされた能登牛の生産者がいます。今年から若い後継者が事業を継ぐ予定でしたが。大切に育てたウシを、このまま死なせたくないという苦渋の決断でした。 【写真を見る】断水で命を落とした牛たち「地震さえなければ…」能登牛の生産者が苦渋の決断 次々とトラックに載せられていくウシ。能登町の山間部・当目地区で30年以上に渡り能登牛など肉用牛の生産に携わっていた柳田肉用牛生産組合。地震により鉄骨づくりの牛舎は波打ち牧場へと続く道路は崩壊。車が通れずウシの命をつなぐ大切な水が供給できなくなりました。 柳田肉用牛生産組合の駒寄正俊・組合長は、地震による断水の影響について「水が出ないので(水が入っているはずのウォーターカップを牛たちが)押しては押しては、ウォーターカップ潰したりとかわいそうだった。それを見てかわいそうで涙出たけど、仕方ない」 水の代わりに雪を与えるなど従業員と懸命に牛の世話をした駒寄さんですが、この1ヶ月で4頭のウシが命を落とし廃業を決断しました。10日ほど前にようやく車が通れるようになった後、先月29日からウシの出荷がはじまり、100頭以上いた牛舎には数頭を残すのみとなりました。 ■生産者「地震さえなければ…」 柳田肉用牛生産組合・駒寄正俊 組合長「情けない。地震さえ無ければ若い子に引き継いで良い形で継げたが、こういう形で閉めるとは思ってなかった」 ことし、駒寄さんから事業の継承を予定していた卯木崇文さん44歳。 卯木崇文さんは「寂しいですね…何かもうちょっと出来る事あればなあとは思っていた。色々こうしようか、ああしようか考える事はあったんで、それは全部出来なくなっちゃいましたね。(牛農家を辞めるのは)無念、残念ですね…なんかどうしようもないですね。今の状況では」と話します。 Q.牛は好きですか? 卯木崇文さん「そうですね…(言葉に詰まって目頭を押さえる)」 牧場主として歩み出そうとしていた卯木さんの夢も奪った能登半島地震。運ばれていく牛たちを見送る駒寄さんと卯木さん。6日、最後の6頭が出荷され34年の歴史に幕を閉じます。
卯木さんは、今後も牛に携わる仕事がしたいと話していて県内の他の牧場の従業員として働くことなど出来ればと話していました。
北陸放送