中島健人、夢の海外進出は「現実になると思っていなかった」 全編英語の台詞に強いプレッシャーも
■海外を夢見るきっかけは“クリストファー・ノーラン監督”との出会い
――そもそも、海外作品に出たいと思うようになったきっかけは何だったのでしょう。 中島:きっかけは、クリストファー・ノーラン監督とリモートインタビューをさせていただいた時ですね。僕は、目の前に自分の可能性を広げられることがあると、一気に全集中で飛び込むっていう生き方をしてきたので、その時もノーラン監督に「(作品に)出してください」って言ったんです。渡辺謙さんが『インセプション』に出ていたりするので、僕もノーラン監督のプロジェクトにジョインできたらいいなって思ったのが始まりです。2020年ぐらいの出来事なので意外と最近ですが、その時は(海外進出が)現実になるとは思っていませんでした。 ――海外進出が明確な目標になってから、何かアクションを起こしたりしましたか。 中島:25歳ぐらいの時に映像作品のお仕事が全然なくて、どうにかしないといけないと思って企画書を書いてみたんです。その企画書をプレゼンする機会みたいなものがあって、さらにそこにノーラン監督とのインタビューとかが重なって、それから海外での仕事がだんだん増え始めた気がします。いろいろな仕事に自分の考えていることを掛け算させてプレゼンすることを始めたのが、結構自分の中のターニングポイントだったかもしれないですね。 ――プレゼンを受けた相手の反応は? 中島:ドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』のプロデューサーに企画書を渡した時は、「何これ」って言われました(笑)。でも、岡田准一くんから、23歳の時に自分の未来を考えてプランニングをするようになったっていう話を聞いて影響を受けたので、自分のこの“何かを伝えたい”みたいなことと、それが大きな規模であるっていう、いわゆるそれがインターナショナルなんですけど、そこの掛け算ができたらすごく楽しそうだなって思ったんです。 『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞を受賞して、ポン・ジュノ監督と話したのもきっかけですね。とにかく日本を外国の中でインフルエンスさせたいという気持ちが強くなって、どうにかして日本も何かできないかなって思うようになりました。 とはいえ、最初は本当に海外ドラマに出演できるなんて思っていなくて。ノーラン監督からも「じゃあ、キャンディデートしておくね」みたいなことを言われただけだったので、実現するのはもっと先なんだろうなって。そうしたら急に『コンコルディア』の話が来てるって言われて、「えっ、出られるの!?」って驚きました。 ――『コンコルディア』の話を聞いて、出演を決めるまでに悩みや怖さはなかったですか? 中島:悩みは一切なかったです。「出ます。そのスケジュールを絶対にお願いします」って即答でした。でも、現地ではクランクインまでいろいろ気が抜けなかったですね。途中、バーバラ監督が顔合わせをしたいってホテルのロビーに集合したんですけど、顔合わせだけかなと思ったら読み合わせが始まって…。「これ下手くそだったら落とされる、台詞削られるかも」みたいな。いきなりプレッシャーを感じたっていうのもあったりしたので、もうとにかく最初は怖くてビクビクしてました。 ――悩まずに行ったけど、実際行ったらちょっと緊張感にしびれたような。 中島:そうですね。最初は「本当に出るのかな、大丈夫なのかな」っていう。言語も違うから、やっぱりそのプレッシャーはかなり強かったです。でも、国の空気感とか、建物も歴史ある西洋建築物ばかりなので、その圧巻の景色に「自分の小さい悩みは大したことないな」って思うようになって。撮影時間も9時から17時までとかしっかりしてるからストレスは全然なかったです。 休みの期間とかも、プロデューサーとローマの街を散歩したりしました。最初の20日間は、ほぼ毎日カルボナーラを食べていましたね。店とか場所によって味が変わるんです。食巡りもローマの楽しみの1つでした。和食屋さんとかも連れて行ってもらったんですけど、まるで自分が最初から知っていたかのような感じでそこにほかの共演者を連れて行ったりもして、すごく楽しかったです。もう2年前の話なのに、こんなに記憶に残っているほど、本当に素晴らしい経験でした。 (取材・文:杉崎絵奈 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG inc]) Huluオリジナル『コンコルディア/Concordia』は、Huluにて日本独占配信中(全6話)。