「パリ五輪では12秒台でメダルを」男子ハードル・泉谷駿介が目指す次の目標と日々を支える食生活
■東京五輪という夢の舞台 ──大学4年時(2021年)は日本選手権の男子110mハードルで日本人初の13秒0台(13秒06)となる日本記録で優勝。東京五輪代表が内定しました。そのときのお気持ちを教えてください。 とにかく安心しましたね。うれしい気持ちもあったのですが、参加標準記録を突破している選手が4人いたので、しっかりと代表内定を決められて良かったという気持ちが一番大きかったです。 ──東京五輪では日本人選手として57年ぶりに準決勝に進出しました。どのように振り返りますか? 無観客開催でしたが、憧れの舞台に立てたというワクワクした気持ちがありました。準決勝はとても楽しいレースでした。ただ9番目での落選だったので、悔しさもありました。 いま思うと、ちょっと欲張ってしまった。準決勝で強豪選手の1人に勝てるかも思っていたので、5台目ぐらいで前に出られたときに、焦ってしまって。絶対に着順通過したいと思っていたのですが、そこは落ち着いて、プラス通過でもいいという広い考えを持てていたら良かったなと思うレースでした。 ──大学卒業後は住友電工に入社されて、昨年はオレゴン世界陸上に出場されました。準決勝で5着。このときも決勝まであと一歩でしたが、東京五輪からの成長はあったのですか? オレゴン世界陸上は調整が難しかったイメージですね。コロナが流行っていたこともあり、自分の本調子で迎えることができませんでした。ハードリングは安定してきたのですが、調整力のなさを実感しましたし、まだ海外の試合に慣れていない感じもありました。 ■日々のトレーニング ──大学卒業後はどんな環境でトレーニングをやられているのですか? 社会人1年目は母校の順天堂大学を拠点に練習を続けていました。今季はNTC(ナショナルトレーニングセンター)を中心にトレーニングを行っています。練習メニューは山崎コーチと相談して決めていますが、基本的にシーズン中はひとりで練習をしています。 ──ひとりでの練習はかなりエネルギーがいると思います。 最初は難しい面もあったのですが、慣れてきましたし、NTCは他種目の選手もいるのが大きいですね。いつも10時から練習を開始して、出された練習メニューはケガをしない限りは絶対にやりきろうと思っています。 ──故障に苦しめられてきた部分もあると思います。日々のコンディショニングは、どんなことを意識していますか? 練習をやり過ぎないというか、追い込むところを変えました。スプリント走ではなく、ウエイトトレーニングやエアロバイクのパワーマックスなどで追い込むようにしています。またスプリント走も距離を長くして出力を低めに取り組んでいます。誰かと競うのも大事ですが、ひとりなら自分のペースで落ち着いてできるのがいいかなと思います。