今クールで断トツと評判の「窪田正孝」学園ドラマとは 口コミで評判が広がり、どんどん高まるファン熱
生徒をよく見ている教師
口コミで評判が広がり、人気が高まる一方なのがNHK「ドラマ10 宙わたる教室」(火曜午後10時)。夕方から授業が始まる定時制の高校が舞台だが、教師や生徒たちの学校生活を描写するだけの凡庸な作品ではない。さまざまな問題を考えさせる大人向けの作品になっている。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】 【写真】窪田正孝の美人妻、セクシーすぎる肩出しドレス姿 ***
主人公は窪田正孝(36)が演じる元惑星科学者・藤竹叶。大学助教などを経験したあと、JAXA(宇宙航空研究開発機構)に誘われるが、「やりたい実験があるので」と断り、東京の都立東新宿高校の理科教師になる。全日制ではなく、定時制だった。 藤竹は2年生の担任になる。クラスには年齢もバックボーンも違う生徒たちが集まっていた。第1回でクローズアップされた生徒は21歳の柳田岳人(小林虎之介)。髪を茶色に染め、ピアスをしており、言葉使いも荒かった。中学時代はグレていた。 柳田は1年生のときには熱心に登校していたものの、このところ遅刻が目立つ。勉強が苦手というわけではないようだ。テストで、連立方程式の計算問題は満点だった。ただし、文章問題の解答欄には1文字も書かない。昼間はゴミ収集の仕事をしていたが、その自分用の手順書はノートにひらがなで書かれていた。 ノートを勝手に見た職場の先輩が嘲笑した。 「小学生からやり直せや」 柳田は腐った。子供のころから読み書きが大の苦手なのだ。1年生のときに頑張ったのはそれを克服しようとしたから。だが、やはりダメだった。 柳田は藤竹に退学届を渡す。しかし、藤竹は受け取らず、柳田がテストで解答欄に1文字も書けなかった文章問題を口頭で出題する。 「解けますか」(藤竹) 柳田は正解をすぐに口にした。藤竹は柳田がディスレクシアだと確信する。それまでも藤竹は柳田を注意深く見ていた。 ディスレクシアは学習障がいの1つのタイプ。全体的な発達には遅れがないものの、文字の読み書きだけは困難だった。 藤竹はそれを柳田に伝え、「1度、診断を受けてみたらどうですか」と勧める。すると、普段は突っ張っている柳田が堰を切ったように泣き始めた。 「(これまで)オレを寄ってたかってバカにしやがって」「オレはさぼっていたわけじゃねぇ」。柳田は小学校のころから成績不振を親に酷く叱られ、クラスメートに見下されていた。やがて柳田は藤竹に噛み付く。「今さらオレに教えてどうするんだ!」と怒声を上げた。 だが、伝える意味はあるのだ。その後の柳田は教室にタブレットを持ち込み、それを使って文字を音声化するようになる。NPO団体によるディスレクシアの人を支援する教室にも入り、読み書きの練習も始めた。そして藤竹のつくった科学部の部員第1号になる。柳田が科学に関心があることも藤竹は見抜いていた。 映画監督のスティーブン・スピルバーグ(77)とトム・クルーズ(62)もディスレクシアで、それを公表している。日本の場合、岐阜大学教育学部の村瀬忍教授たちが2000年代には情報を広め始めたが、今も教師が見過ごしてしまうケースが多いという。柳田の小中時代の教師も彼をよく見ていなかったのかも知れない。ディスレクシアの人の割合は40人クラスで2~3人程度とされている。