こんなに違う!日本と欧米の「お弁当事情」お弁当の違いで子どもの成績に差は出るのか?
子育てに直面したときに、巷で耳にする、あんなウワサ、こんな説。それってほんとうに根拠があるの? 頭の良さと弁当の関係性って? 東大合格者多数・超有名男子校のお弁当事情は……【漫画】 これまで、気になる論文を読んできた、情報理工学博士の山口先生が、世の中にあふれる「子育て説」を科学の面から一刀両断。現在子育てに悩んでいる方、なにかヒントが見つかるかもしれませんよ! 今回は、「お弁当事情」についてお話しします。
サンドイッチでもこんなに違う日本と欧米
日本のお弁当は、世界的に見ても、一番手間がかかっていると思います。海外に住んでいる方の間でもよく話題にあがっていますね。 サンドイッチを例にしてみましょう。 皆さんはサンドイッチをつくったことはありますか? サンドイッチをつくるとき、日本の場合は、野菜を洗ってきれいに切って、ハムやチーズなんかも用意して、バターを塗って、パンに具を挟んで…という作業を繰り返すと思います。丁寧にパンの耳も後から切りますよね。 サンドイッチのつくり方は、他の国でも同じと思うかもしれません。 しかし、私が知っている欧米のサンドイッチのつくり方は、大抵の場合、瓶詰めのツナサラダやピーナッツバターをパンに挟むだけ。 おそらくですが、日本と欧米のサンドイッチづくりにかかる時間は、比較にならないほど違うと思います。 欧米のスーパーでは、サンドイッチの中身として瓶詰めが売られているのは普通で、それをそのままパンに塗ったり、挟んだりするだけです。 ところが日本では、多分そんなサンドイッチのつくり方に罪悪感があるんでしょう。手間をかけていないと思うのか、レタスを切って、洗って、拭いて…みたいな作業を繰り返すことになります。サンドイッチひとつをとっても、日本と欧米では、調理時間が大きく違うわけです。
手づくり弁当で、子どもの成績は伸びるのか
おにぎりをお弁当に使うときも、おにぎり“だけ”をお弁当にする人は少ないのではないでしょうか? 卵焼きを焼いたり、唐揚げを使ってみたり(朝から揚げ物をやるって、ものすごい手間です)、普通にやられているイメージ。冷凍食品の唐揚げをお弁当に入れるだけで、手抜きだと感じる方も多いのではないでしょうか。 日本の幕の内弁当のようなお弁当は、とても綺麗で素敵だと思いますが、この文化を普通の家庭の中で維持するのはちょっと大変かなと思います。手づくり弁当を頑張ったからといって、子ども成績に差があるかと言うと、そういうわけではないというのが国際比較した研究でわかっています。まぁ、もちろん成績が全てではないのですが……。 おかずが少なくても、栄養バランスが足りているのであれば、肩の力を抜いてもよいのかなと思います。 私の家では、子どもがまだお箸を完璧には使いこなせないこともあり、食べやすいものをお弁当に入れています。 おにぎりと卵焼き、あとミニトマトぐらいのお弁当をつくることが多いです。これ以上細かいものはお箸で持つのに時間がかかったりして、決められた時間内に食べきれないようです。ただ、それだけだとタンパク質がちょっと足りなくなってしまうので、卵焼きやおにぎりの具を少し工夫しています。また、デザートにフルーツを入れるようにもしています。これでもまだまだタンパク質は足りないんですが、お弁当ではご愛敬……。 今後も、理系の研究者が母親になって感じた日々の疑問について、私なりに調べ、考えた結果を共有していけたらと思っています。
PROFILE
【山口利恵】 6歳の子どもを持つ母親で、博士(情報理工学)。普段は、東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センターの特任准教授として、情報系の研究を推進。また、情報オリンピック日本委員会や国際大学対抗プログラミングコンテストのメンバーとして、中高・大学生の数理情報科学教育の振興にも邁進。趣味はクラシック音楽。