配島徹也が監督したフィッシングラブストーリー「重ねる」11月公開
「SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」に出演した配島徹也が脚本、監督を担った「重ねる」が11月23日より公開されるとわかった。 【画像】映画「重ねる」場面写真 配島自身の経験から着想した完全オリジナル作品となる本作は、訳あって旅に出た加藤あゆみと、追われるように都会を去った平野一徹が織りなすフィッシングラブストーリー。渓流で出会い、あゆみの宿泊先で再会を果たした2人は秘密を共有し、静かな恋を芽生えさせていく。須田晶紀子があゆみに扮し、100名を超えるオーディションで選出されたタモト清嵐が一徹役で出演。織田美織、カトウシンスケ、曽我部洋士、竹川由華、末川かおり、大島葉子もキャストに名を連ねた。 岐阜県郡上市和良町と下呂市金山町の観光協会から賛同を受け、2023年夏に1カ月のロケを実施。ペア釣り大会のシーンでは、現役で活躍する鮎の友釣りのトップトーナメンターが参加している。脚本開発から参加した須田は「乗り越えなければいけない時も皆さんの顔が浮かび、おかげで食いしばれました。素晴らしいロケーションの中で今までに経験したことのない事を経験させて頂きました」と振り返った。 そして撮影前に鮎の友釣りと渓流のエサ釣りの指導を受けたというタモトは「どうしようか、なんて考えてるうちに全部通り過ぎてしまって、ぽっかり空いてしまった穴に呆然としながらまたどうしようか、なんて。自分がそうであったからなのか、映画を観て劇場を出ると空を見上げてしまう、そんな作品です」と回想。配島は「作品で描きたかったのは、周りの環境に馴染めなくなってしまった人間が、何かの目的に向かっていく時の心が踊る瞬間や、本当に時間の使い方のわからなくなった人間が時に吐く、切実な助けを求める言葉です。これが私の考える『人間の愛くるしさ』です」とつづった。そのほかキャスト6名のコメントを以下に掲載している。 「重ねる」は東京・ユーロスペースほか全国で順次公開。配給は記録活映社が担当する。 ■ 配島徹也 コメント 大学卒業後10年目のその日は、番組製作会社の社長室に呼び出されていました。理由はとてもわかりやすく、頭を金髪にし、眉を剃り、血糊をつけた状態で編集機の椅子に半日寝ていたのです。その朝は、大学同級生の映画監督入江悠のサイタマノラッパー3の撮影で、八王子のライブハウスで凶悪キャラを演じ、完徹した直後の状態でした。 社長「会社をなんだと思っている。周りにそんな奴一人もいないだろ」語気はもちろん荒いです。だが私は間髪入れず、切り返しました。 配島「釣りの映画を撮らせてくれるなら、まだ会社に残ってやる」 社長「無理だ。頭おかしいのか?」 配島「じゃ、辞めるわ」 社長「・・・」 その後、会社を去り10年の月日が経ちました。私の頭の中にはその間もずっと、釣り映画を撮る構想が渦巻いていました。 そもそも日本の魚釣りの映画といえば「釣りバカ日誌」か「リバーランズスルーイット」しか知られていません。前者は、会社員の日常を釣り人の滑稽さで魅せる喜劇、後者はアメリカの戦争に対するカウンターカルチャーとしての釣りを通した兄弟の話であります。本作「重ねる」はどちらでもありません。 現在に存在しているごく一般的な男女が、釣りを通して出会い、ひと夏を山間の村で過ごす物語です。 作品で描きたかったのは、周りの環境に馴染めなくなってしまった人間が、何かの目的に向かっていく時の心が踊る瞬間や、本当に時間の使い方のわからなくなった人間が時に吐く、切実な助けを求める言葉です。これが私の考える「人間の愛くるしさ」です。ダメになってしまったがそれでも生きていく、なんなら辛いって吐きながら生きて行っていいんだという「人間讃歌の結晶」をテーマに向けていきました。 そんな心の状態になった都会の人間が行うのがこの作品内での“魚釣り”なのです。唯一、自分と自然をつなぐのは、針、糸、竿という道具。その躍動するトキメキをいかに映画で表現するかー。構想10年でついに実りました。 今作品で、唯一無二のファムファタルを体当たりで演じた須田晶紀子さん、不器用だけど一生懸命に生きる男をタモト清嵐さんが演じ、最高のスタッフが映画化しました。是非、ご期待ください。 ■ 須田晶紀子 コメント 準備から参加した45日間の岐阜県和良町での撮影。1番に浮かぶのは地元の方々の顔で。お世話になったなぁ、温かったなぁ…と。乗り越えなければいけない時も皆さんの顔が浮かび、おかげで食いしばれました。素晴らしいロケーションの中で今までに経験したことのない事を経験させて頂きました。魚釣りと男女の不思議な恋愛模様、観て頂けたら嬉しいです。 ■ タモト清嵐 コメント 求めるほど遠のいていく。そんなジレンマが小気味好くストーリーを突き動かします。岐阜県和良町の青々とした大自然が、 いかに自分が些細でちっぽけかを教えてくれる。どうしようか、なんて考えてるうちに全部通り過ぎてしまって、ぽっかり空いてしまった穴に呆然としながらまたどうしようか、なんて。自分がそうであったからなのか、映画を観て劇場を出ると空を見上げてしまう、そんな作品です。 ■ 織田美織 コメント 何か大きな事件が起こりそうだけど、何も起こらない。でも本当に何も起こっていないのかといえば、そうでもない。 それぞれ表に出ない、出さない、出せない想いがあって。でもそれとなく溢れてしまっていて。しっかりと壁にぶち当たっていて、そしてその現実を受け入れている。みんなかっこいいなあ。一見訳がわからない行動もひっくるめて愛おしいなあ。生きているっていいなあ。そんな作品になっていると私は思います。素晴らしい自然と、釣りと、人間模様をぜひ劇場で覗き見してください。お待ちしております。 ■ カトウシンスケ コメント どうやってロケ地に行けば良いのか、明日はどのシーンを撮るのか、はっきりしたことはほとんど分からぬまま岐阜県は郡上市和良町に入った。駅を降りると灼熱の日差しの中、灼熱の情熱を持った配島監督が大きく手を振っていた。この人の映画が始まるんだ、そう思うと同時に、この人がこの映画そのものだ、とそんな気がした。 みんなで笑ったり苦しんだり、学生時代に戻ったかのような熱情の合宿生活を送りながら、ちっぽけな僕ら人間にはどうしようも出来ない圧倒的な大自然の中で、肩寄せ合って隙間を少しお借りして、ちっぽけな僕ら人間達のちっぽけな、しかし、大切だと信じる営みの物語が紡がれた。 大自然に包まれながら、ああ・・・完璧なんてないんだ、とそんな事を思いながら、演っていた気がします。川の飛沫を感じてください。山の風を感じてください。暴れ回る天気を。土の匂いを。魚たちの煌めきを。もがきながら生きる僕たちを。 劇場で沢山の皆さんと一緒に肩寄せ合って観賞出来たら、それは嬉しいなあ。 そして和良にも行きましょうー!!VIVA和良町!アマゴも鮎も美味しかったなーーーー!!また口いっぱいに頬張りたい! ■ 曽我部洋士 コメント 「今日は火を起こして鮎を焼いてみんなで食べようか。」 って火を囲んで、採れたての鮎を監督が丁寧に焼いて、スタッフ、キャストでみんなで食べる、酒を飲む。美味しかったなぁ。大自然の中の贅沢な時間。そんな時間のおかげで、ロケ途中参加の僕にもスッと心を許してくれた、スタッフの皆さんとチャーミングな主演二人との共演も最高に贅沢だった。ロケ地、岐阜、和良町でお世話になった方には、地元の名所の他に、オオサンショウウオも見に連れて行っていただき、地元の愛を感じ、観光課職員役の僕としては最高の役作りさせていただいた。皆が大自然の中、一瞬一瞬を大切に重ねた映画。ぜひ、たくさんの人に見ていただきたいです。 ■ 竹川由華 コメント 初夏、自然あふれる岐阜の地で。私にとって初作品で終始ドキドキの中挑みました。透き通った川に生息する鮎や蛍にたくさんのエネルギーをもらいました。同じ屋根の下食事も囲いながら過ごした撮影期間。スタッフや出演者全員が家族のように温かくお芝居についてアドバイスをたくさん頂きました。私が演じさせて頂いたゆりちゃんは岐阜の自然と村人の愛をたくさん受けながら育ったのでとても明るくみんなに元気を与えられるような子です。普段の私と同じような部分も多く演じていて親近感がありました。監督・撮影スタッフ・出演者みんなの熱い想い、そして岐阜の地の自然がたくさん詰まった作品です。1人でも多くの方に見ていただきたいです。 ■ 末川かおり コメント 大人の夏休みみたい…。ロケ地に着いた時の最初の感想です。川の音で目が覚め、朝靄が広がる早朝。 無数の鮎がキラリと輝きを魅せる透明度の高い川。夜の帳が降りるとカエルの大合唱。地元の方々とのふれあいは故郷なのではと錯覚するほど温かく、キャストやスタッフは大家族のような気持ちのいい仲間となりました。 皆の思いの詰まった配島監督渾身の映画「重ねる」劇場でご覧頂けましたら幸いです。 ■ 大島葉子 コメント 夏の暑い日。生まれて初めて見た幻想的な蛍の群れ。配島監督の想いの詰まった映画の撮影現場は、山と川に囲まれた素晴らしい風景の、想い出深い場所になりました。そして同じ屋根の下で合宿のように過ごし、スタッフや時には俳優部が作ったご飯をみんなで食べ、シーンについてや、お芝居について話し合える貴重な日々は、忘れなれない時間になりました。そうして生まれた映画「重ねる」は、たくさんの人に観てもらいたい映画になっていると思います。是非、映画館でお待ちしています。 (c)記録活映社