阪神淡路大震災から19年、 「震災を伝えるモノ」 /神戸
阪神・淡路大震災の発生から今年で19年。13日に兵庫県神戸市中央区を訪ねると、成人式帰りの若者が楽しそうに街を歩いていた。だが、震災時にこの街が傷ついた記憶は、彼らにはないのかもしれない。同市内を歩くと、震災で崩れるなどしたものを保存・展示、または記録したものなどを見かけた。それらは「震災を伝えるために」と残されているという。 阪神大震災19年 神戸を見守り続けるポートタワー
崩壊したメリケン波止場の一部を保存
同市中央区のJR元町駅を南へ歩き中華街などを抜けると神戸港のメリケン波止場に着く。震災で同港は甚大な被害を受け、メリケン波止場も大きく崩壊するなどした。 同港は約2年後に全面復旧したが、同波止場の被災部分約60メートルをそのままの形でで保存。見学しやすいようその部分を囲み「神戸港震災メモリアルパーク」として残されている。「被災状況や復旧の過程を忘れないために作られた」と話すのは、管轄する神戸海洋博物館の職員。被災当時の様子や、どのように復興したかを写したパネルなども展示されており、ポートタワーなどを望むこともできる。
鉄骨がむき出しとなった橋脚
同市中央区の阪神高速京橋ランプに近い国道2号線沿いには、鉄骨がむき出しになった橋脚が展示されている。これは展示スペースそばを走り震災で被害を受けた「2号浜手バイパス」の橋脚、橋の継ぎ目などに使われる伸縮装置だった。これらを管理する兵庫県国道事務所によると、被災の姿を残し、防災意識を高めるためにと残されたものだという。 「普通の工事であれば処分するものだったでしょうが、展示されている伸縮装置をみても『ありえない形』で曲がっている。それだけ地震の恐ろしさを物語っている」と同職員は話していた。
震災犠牲者の名を刻むモニュメント
同市中央区の神戸市役所南に東遊園地がある。ここでは毎年「阪神淡路大震災1.17のつどい」が開かれ、ろうそくの火を灯した「竹灯篭」が「1.17」と「3.11」に並べられ市民らが祈ることでも知られている。 同遊園地内に設置されている「慰霊と復興のモニュメント」の「瞑想空間」には、震災犠牲者の名前が刻まれたプレートを掲示。同市役所の参画推進部市民協働推進課によると、ふだんは9時から17時に開かれているが、16日夜から17日にかけては開放するという。
同遊園地広場の脇には、つどいの準備のためか多くの竹が置かれていた。同課によると、16日午後からボランティアによって竹が並べられるという。19年目の「祈りの時」が近づいている。