ついに中国当局が「文学界」にまで手を伸ばした…世界的ベストセラーSF小説『三体』編集者「規律・法律違反容疑」で調査の真相
当局の魔の手は文学界にまで
韓国では「大統領とは監獄行き一歩手前の職業」と揶揄されるが、中国ではあらゆる成金が同様かもしれない。長者番付に名を連ねた富豪が「落馬」(失脚)したというニュースは、日常茶飯事だ。 【写真】これはヤバすぎる…!中国で「100年に一度の大洪水」のようす だがそんな中国人でも驚愕するような「落馬事件」が起こった。先月23日、四川省規律検査委員会が突然、発表したのだ。 〈四川科幻世界雑誌社の取締役で副編集長の姚海軍を、重大な規律・法律違反容疑で調査中……〉 泣く子も黙る「紀委」が、今度は文学界に手を突っ込んだのだ。
SF以上に摩訶不思議なこと
姚海軍の名は知らなくとも、SF小説『三体』はご存じだろう。世界累計3000万部以上を売り、日本でも累計100万部を超えた。'15年に米ヒューゴー賞を受賞。現在ネットフリックス版のドラマが大ヒット中だ。 作者の劉慈欣はもともと、山西省の一電気技師だった。その才能を見出し、二人三脚で構想を練って'06年に『三体』を発表させたのが、編集者の姚海軍だ。以後も『三体』シリーズを世界的にヒットさせた最大の立て役者で、「中国で最も成功を収めた編集者」なのだ。 それだけに、中国国内で衝撃が広がっている。 〈SF以上に摩訶不思議なことが起こった!〉 〈姚海軍よ、お前もか〉 姚海軍の知人である中国出版業界関係者が、ため息交じりに語る。 「彼は生真面目な編集者だった。『中国の夢』を実現させたのだから、劉慈欣を連れてさっさと海外移住すればよかったんだ」 「週刊現代」2024年11月9日号より ……・・ 【さらに読む】「三体はやりすぎた」「消えた33億円はどこへ」…!世界的大ヒットSF小説の担当編集者「逮捕」のウラで蠢いていた「マネロン請負人」
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