モンベルと連携しサイクリングガイドを育成 自転車活用した町おこしを進める岩手・雫石町
岩手めんこいテレビ
岩手県雫石町ではアウトドア用品メーカーと連携して自転車のツアーガイドの育成を始めた。 サイクリングの聖地を目指し動き出したプロジェクトを紹介する。 自然と一体化しながら景色の移ろいを楽しむサイクリング。 雫石町では自然豊かな町内を自転車で巡り地域の魅力を知ってもらおうと、2021年にサイクリングマップを作成した。 岩手山を眺めながら町内を周遊できるルートをはじめ、のどかな田園ルートや桜の名所・雫石川園地にも立ち寄ることができる御所湖一周ルートなど、7つのルートを設定している。 観光協会でのレンタサイクルの貸し出しなど自転車を活用した町おこしを進める中、2022年には大阪市に本社がある大手アウトドア用品メーカー・モンベルと包括協定を締結した。 雫石町はモンベルがお薦めする地域「フレンドタウン」として登録され、モンベルの会員向けの冊子などに雫石町の観光情報が掲載されている。 雫石町商工観光課 都市交流推進室 岡森篤係長 「会員が110万人ほどいるので、会員向けの情報発信というところでは周知、強化できたんじゃないかと思っている」 2023年度はモンベルのグループ会社がまちづくりの方向性を示すグランドデザインを策定。 その中で、アウトドアを活用した観光の推進に向けて「フィールド(環境)の整備」そして「人材育成」に力を入れるよう提案があった。 この提案を踏まえて始まったのが、自転車の観光ツアーで案内役となる「サイクリングガイド」の育成だ。 8月21日と22日、初めての講習会が2日間の日程で開かれ、地元住民など11人が参加した。 講師を務めたのは、世界各国を自転車で旅しサイクリングガイドとして活動している小口良平さんだ。 この日走るのは、網張温泉スキー場から小岩井農場まきば園までの15キロほどのコース。 小雨の降る中、参加者は列をつくって目的地へ出発する。 今回のコースは、サイクリングマップにも掲載している下り坂の多い道だ。 急なカーブや障害物があるときはハンドサインを出し、後ろの人に減速や曲がる方向をしっかり伝える。 宮沢賢治が登山の際に休憩したとされる岩手山神社の近くでひと休みする。 さらにペダルを漕いでいくと開けた場所に出る。町内でも有名な観光名所の一つ「一本桜」だ。 晴れていればバックに雄大な岩手山が望めるが、この日はあいにくの空模様だった。 まちづくりサイクルアドバイザー 小口良平さん 「岩手山も見えなかったときにどうするかを考えておかないと」 『ツアーの日が常に観光に適した状況とは限らない』、参加者は小口さんの話を聞きながら、不測の事態への備えを学んでいた。 そして、目的地の小岩井農場まきば園に到着。走り終えた参加者は充実した表情を見せていた。 参加者 「一緒に行く人の安全を第一に考えるのが難しい。自然がいっぱいあって良い場所なので、そういう魅力を伝えていければ」 参加者 「自転車は転ぶこともあるし、けがをすることがあるので、それがないようにすることがすごく大事。(サイクリング初心者とも)一緒に楽しめるようになればいい」 実技のあとは、自転車のメンテナンスに関する講習も行われ、参加者は小口さんらの指導を受けながらタイヤの空気圧やブレーキの効きなどを念入りにチェックする。 参加者のひたむきな姿に、講師の小口さんも心を動かされていた。 まちづくりサイクルアドバイザー 小口良平さん 「(参加者が)何よりも自分が好きなもの、好きな所を案内する喜びを感じられているところがうれしい」 2日間の講習を終えた参加者は観光協会のサイクリングガイドとして登録されるが、今後も勉強会などを実施し、ガイドとしてのスキルアップを図る予定だ。 モンベル広報部 設楽文昭係長 「岩手山という素晴らしい山もあって御所湖というフィールドもある。この地域のフィールドの楽しさを地域の皆さんと一緒に全国に伝えていければ」 雫石町商工観光課 都市交流推進室 岡森篤係長 「スキルをどんどん上げていって(参加者が)ツアーのガイドをできるようになっていければ」 町への愛と自転車への熱意にあふれた関係者が集い、動き出した今回のプロジェクト。 サイクリングの「聖地」となることを目指して取り組みは続く。
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