【日本株週間展望】弱含みへ、インフレ高止まり懸念で米PCEに注目
(ブルームバーグ): 5月第5週(27-31日)の日本株は弱含みの見込み。米国のインフレが落ち着かず利下げが遠のくとの懸念が投資家心理を冷やす。主要な景気指標から米金融政策の先行きに関する手掛かりを探る展開となりそうだ。
米国で4月の個人消費支出(PCE)が31日に公表される。3月はコア価格指数の堅調さが示され、物価の上昇圧力に対する懸念が強まった。同指数は米金融当局が政策の方向性を決める上で重視しており、週末の発表に向けて投資家の様子見姿勢を強めやすい。
5月第4週の東証株価指数(TOPIX)は週間で0.1%安と反落。購買担当者指数(PMI)が米企業活動の著しい加速を示し、米利下げ期待の後退が相場の重しとなった。
一方、国内では全国の物価の先行指標となる5月の東京都区部消費者物価指数(CPI)が31日に発表される。4月は食料品価格の伸び鈍化や高校授業料の実質無償化などにより、コアCPIの上昇率が前年比で2%を割り込んだ。4月の小売売上高や鉱工業生産も31日公表の予定。
その他の主要な経済指標やイベントは、5月の米消費者信頼感指数 (28日)、1-3月の米国内総生産改定値(30日)、5月の中国製造業・非製造業PMI(31日)、為替介入実績(31日)など。
《市場関係者の見方》
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジスト
米PMI上振れでインフレが高止まりするとの警戒感が強まり、日本株も上値を追いづらい状況だ。米景気の減速を示す内容が消費者信頼感指数などから確認できれば株式市場には追い風となるだろうが、PCEデータを確認したい。主要な国内指標は金曜発表のため、米国の指標や高官発言に左右される相場となりそうだ。
アセットマネジメントOneの荻原健チーフストラテジスト
PMIを受けてインフレや景気、金融政策の見通しが再び揺らいできたことから、米利下げの確信度を確かめる週となるだろう。日本株は方向感を欠く値動きとなりそうだ。PCEでインフレの落ち着きを確認できるかに注目が集まる。日本独自の要因で足元は弱い展開が続いているため、海外株高を通じて投資家心理が改善しないと買いが入りづらいとみる。