中野美奈子さん(44)アナウンサー第一線から海外・地方移住…決意の裏側|STORY
2年のはずが6年滞在したシンガポール
第一子と。シンガポールで子育て中 ――2013年に移住したシンガポールでは、どう過ごしていましたか? 海外生活が初めてでしたし、仕事をしてもうまくいかないだろうと思って、フリーになるかどうかも決めずに、とにかく新しい生活のことを一番に考えて移住しました。子どもができる前は、今の事務所に声をかけてもらって、2ヵ月に1回くらい収録で東京に行ったり、めざましテレビからシンガポール支局として現地の情報をお届けする仕事で、月2回のペースで仕事をしたりしていました。長男が生まれてからは、仕事を一旦お休みし、子育てに集中していました。 シンガポールの夫の仕事は2年契約だったので、2年のはずだったんですが…居心地が良くて、2年、また2年と更新し、結局6年滞在していました。 ――帰国後は広島に住み、現在は香川に移住されています。東京にいたころ、40代になってまた香川にUターンしているご自身を想像されていましたか? シンガポールからの帰国後は、夫の実家がある広島で過ごしました。広島は都会で歴史もあって、素敵な場所だったので、楽しく過ごしました。2年経って夫が仕事の幅を広げたいということで、話し合って、私の実家がある香川でクリニックを開業することになりました。漠然とですが、いつかは地元で子育てをしたいと思っていたので、戻って来た時は素直に嬉しかったです。
寝耳に水だった香川での仕事
文化観光大使もしています。丸亀城と ――香川に戻られてから仕事はどのように続けていますか? 東京には月2、3回行っていて、それとは別に地元での仕事もいただいています。丸亀市の文化観光大使もしているので、香川の良いところを発信したり、香川県警の一日通信指令室長をしたりといった地元の仕事も積極的にしています。中学高校時代の友人の繋がりでお仕事する機会もあって、昔やんちゃだった同級生と真面目な現場で仕事で会うと、お互い大人になったねと(笑) 。一緒に仕事できることがありがたいです。 中には、寝耳に水だったお仕事もあって。四電工の社外取締役の話は、最初私にはわからない話かなとお断りしていました。でもお話を伺ってみて、四電工という会社が建築メインの男性が多い職場で、女性の職場としては、未開発の部分が多い会社だと知りました。出産や育児を通してのライフプランニングを考え、女性も働きやすい会社に変えていきたいという部分で、サポートできることをしています。 また、(政府主催の)こども未来戦略会議のお仕事は、人生で一番緊張した仕事でした。地方での子育てをしながら仕事をしている私の視点が活きるのであればとお引き受けしましたが、「私でいいの?」という想いもありました。なかなか人生の中でこんな機会はないですし、貴重な経験をさせていただきました。 それから今はZOOM取材など、リモートワークもできるので、新しい形として取り入れながら、働きたいと思っています。最初は顔を合わせないと失礼ではないかと、無理をしても現場に行っていたのですが、都会にいなくてもできる仕事もありますし、香川の魅力ももっと伝えていきたいですね。
香川県警のヨイチくんとヘルメット着用呼びかけ「1日通信指令室長」 取材/宮寺佳愛