ビジョン見えない阪神・大山の121試合目スタメン落ちに異論続出!
阪神の大山悠輔が雨天中止となった29日の中日戦(甲子園)で121試合目にして今季初のスタメン落ちすることになっていた。試合前に発表されていたスタメンに開幕は4番だった大山の名はなく「三塁・6番」には北條が入っていた。阪神は28日の中日戦で今季12度目の完封負け。CS出場に勝負をかける矢野監督が、前夜、代打で結果を出した北條を選択したもの。ネット上では、大山外しに反対意見はほとんどなかったが「今さら」「遅すぎ」との異論が噴出した。勝負ごとに“たられば”は禁物だが、矢野監督は「競争の原理」を開幕からチームに持ち込んでおくべきだったのかもしれない。 雨により試合開始の遅れていた甲子園に衝撃が走った。定刻にスタメンが発表されたが、そこに大山の名前がなかった。121試合目にして初のスタメン落ち。大山は「育成の象徴」として開幕4番に抜擢され、どれだけ打てなくとも動かされることはなかったが、106試合目となる8月10日の広島戦で4番を外れ6番に降格された。大山は、その試合で意地のサヨナラ3ランを放ち、矢野監督は「今度は自分の力で(4番を)奪い取ってほしい」とエールを送ったが、奪い返すどころか、そこから15試合後に、今度はスタメン落ちとなっていた。 今季の大山の成績は打率.262、12本塁打、68打点。ここ5試合の打率は.316で、23日のヤクルト戦では2本のタイムリー二塁打で勝利に貢献した。だが、打席の内容が相変わらず悪く、ここ一番で打てない。前夜も0-1で迎えた9回裏に中日の遠藤が平凡なフライを落球するというラッキーな流れから一死一塁となり6番の大山に打順が回ってきた。大山は初球のストレートを見逃しスライダー狙い。中日の守護神、左腕の岡田は、インサイドの膝元にスライダーを曲げて大山を封じ込もうと考えていた。カウント2-2から岡田は制球ミスをした。真ん中にちょうど打ち頃の高さのスライダーが来たのだ。しかし、大山は、失投を仕留めきれず、逆にタイミングがずれて打ち損じ、1-6-3の併殺に終わっていた。大山の課題は、相手の失投を一撃で仕留めきれない精度にあるが、おそらく、この打席が、矢野監督の我慢の限界を超えたのだろう。 大山のスタメン落ちに対して異論はない。 ネット上でも反対意見はほとんどなかった。だが、問題は、残り23試合の段階でのスタメン落ちの決断にある。SNSでも「遅すぎる」「なぜ今更」「もっと早く決断すべき」との意見が噴出した。 阪神OBの評論家、池田親興さんも、そこに疑問を抱く一人。 「ベンチは、大山をこれからどうしたいのだろうか。開幕からずっと4番を打たせてきたのは、他に4番がいなかったからなのか、彼を4番として育てたかったのか。残り23試合でCS出場を勝ち取ることが理由のスタメン落ち判断ならば、これまでの戦いは何だったのか、ということになる。他選手の調子や、大山自身の調子を考慮して、チームが勝つために何がベストかという選択がチームの基本方針としてあったのならば、4番を外すこともスタメンを外すことも、もっと早い段階で決断すべきだったのだろう。厳しい意見になるが、現場の方針が、ぶれすぎていて何をどうしたいのかのビジョンが見えない。大山は、4番としては物足りないし、投手の立場から見れば穴がいくつもある。ただ打率が.262で、一発長打のある大山が7番にいれば怖さはある。バッテリーは神経を使わねばならないし、8番、9番に、いい影響、流れを作ることができると思う」