リュウキュウの自然 春の甲虫 その2
琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊和雄さんです。本日もよろしくお願いします。 湊和雄さん「よろしくお願いします」 さて今回のテーマは「春は甲虫たちの季節Part2」です。 湊和雄さん「前回に続いて、甲虫たちの活動するやんばるの森の春。前回の主役はオキナワトラフハナムグリ。今回の主役は光らないホタルとそれに擬態する種類たち。」 楽しみです!ではVTRを見てまいりましょう。 湊和雄さん「雨不足の続く沖縄ですが、このところの雨で、森の中の渓流にも潤いが戻ってきています。」 美しい! 湊和雄さん「前回も紹介したように、春のやんばるの森の主役は甲虫たち。中でも光らないホタルたち、その代表がベニボタルというグループ。最も多いのがオオシマカクムネベニボタルという種類です。このペアはオスが盛んにメスへアプローチ。ベニボタルというグループは有毒な種類で そのことを鳥などの天敵にアピールするために鮮やかな色彩だと言われています。」 進化ってすごいですね。 湊和雄さん「ベニボタル同士よく似た姿をしていますが、オオシマカクムネベニボタルは、その名前のとおり、「前胸背板(ぜんきょうはいばん)」と呼ばれる頭部の後のパーツが台形をしているのが特徴(識別点)です。」 ふむふむ。 湊和雄さん「別のベニボタルのオキナワクシヒゲベニボタルです。オオシマカクムネベニボタルに比べるとやや小型ですが、基本的によく似ています。」 舌を噛みそうな名前です! 湊和雄さん「名前のように触角が櫛のように枝分かれしています。もっとも、これはベニボタル全般に共通した特徴でもあります。細長い葉の先端から飛び立とうとしていますが、風が強く、なかなか飛べないようです。別の広い葉に歩いて移動し、やっと飛び立つことが出来ました。」 湊和雄さん「これも別のベニボタルですが、まだ正式な名称が付けられていません。サイズは前の2種類のちょうど中間程度です。盛んに葉の表面を舐めていますね。恐らく、上の木から落ちてきた花粉でしょう。」「なかなかじっとせずに、度々飛び立ちます。 」 ほんとですね! 湊和雄さん「やはり、この時期見られる光らないホタルの仲間、オキナワアカミナミボタル。これも有毒だと言われています。基本的にベニボタルと同じ色彩パターンですね。」 私を食べると危険よ!ということですね。 湊和雄さん「この時期の森では、有毒の光らないホタルに擬態した甲虫が同時に出現します。」 かしこい生き方! 湊和雄さん「このクニヨシホソクシコメツキもその1種類。前胸背板が黒く、翅は赤い細長い体型でよく似ています。こちらはアリタムネアカコメツキ。やはりよく似ていますね、と言いたいところですが、前胸背板と翅の部分の色彩が逆転しています。」 ものすごくよーく観察しないとわからないですね。すごい!これは?飛び立つところもよく似ていますが、これも光らないホタルへの擬態? 湊和雄さん「いえ、ちゃんと同じ色彩パターンのホタルがいるんです。オキナワマドボタルの雄です。これは、弱いながらも光る、ホタルらしいホタルです。」「これも、同じような色彩パターンの甲虫、ヤンバルフタイロジョウカイです。ジョウカイボンというグループに属しますが、有毒説と、有毒種への擬態説の両方があります。」 湊和雄さん「前回の主役オキナワトラフハナムグリも今回のベニボタルも、そろそろシーズン終了。甲虫たち全般が少なくなってきましたが、前回もトリを取ったヨツメオサゾウムシはまだたくさん見られます。真後から見ると、顔のように見えることは前回も紹介しましたが今回はよりそれらしく撮れました。さらに、今回偽の口を開くシーンまで撮影することが出来ました。」 今回も貴重な映像ありがとうございました。 リュウキュウの自然でした。