「ここでやるしかないと思いました」日大豊山DF臼倉夢之心がFW起用に応え決勝弾
令和6年度関東高校サッカー大会東京予選の準々決勝が27日に行われ、日大豊山と国士舘が対戦した。 【フォトギャラリー】 日大豊山 vs 国士舘 立ち上がりから双方、果敢に攻めあう展開のなか、試合は前半38分に動く。日大豊山がCKのチャンス。キッカーMF10葛西由晏(3年)からDF3石田悠太郎(3年)がそらし、最後はDF2瓜田周平(3年)が押し込んで先制した。 後半に入ると国士館はMF10大関流生(3年)を起点に猛然と日大豊山陣内に攻め込む。立ち上がりこそ、攻めてはいるものの、受け手と出し手の呼吸が合わず、せっかくのチャンスが台無しになるシーンがあった。しかし、時間の経過とともにそのズレが徐々にあっていく。国士館は後半34分、左サイドから進入したMF10大関がゴール前にグラウンダーのクロス。これに途中出場のFW18齋藤皐瑛(3年)が滑りこんだが、あと一歩、及ばず。38分にも同じようなシチュエーションとなったが、日大豊山の執拗な守りに阻止された。迎えた40+2分。国士館は後半34分同様に左サイドMF10大関のパスからFW18 齋藤が決め、土壇場で同点に追いつき、試合は延長戦へ突入した。 勢いに乗る国士館は延長前半2分、シュートの跳ね返りをMF10大関が頭で合わせたが、枠外。防戦一方の日大豊山はカウンターから相手陣内に入り、セットプレーで得点チャンスを広げていった。1‐1のまま、迎えた延長後半4分、日大豊山。CKのチャンスから途中出場のDF22臼倉夢之心(3年)が頭でねじこんで、追加点をあげた。ここであっさり終わらないのがこの試合。2分のアディショナルタイムに入った直後、ペナルティエリア付近で途中出場の国士館FW11北畠広翔(2年)が放ったシュートは惜しくもバー直撃。国士館は試合を通じ、絶好機を多く作るものの、何かが足らなかった印象がぬぐえなかった。 試合は日大豊山が国士館を延長戦の末、2-1で振りきって、ベスト4に駒を進めた。 日大豊山の海老根航監督は「先に1点を取ってから、後半終了間際に追いつかれるまで、自分たちの良さが出せました。苦しい状況のなか、全員で粘り強く戦え、少ないチャンスをモノにできました」と語った。 結果、日大豊山はセットプレーから2得点をあげ、勝ったが、前線で身体を張りつつ、重戦車のように突き進むFW9大山泰生(3年)のほか、主将で司令塔のMF10葛西、快足のサイドアタッカーDF4大根悠資(3年)、最終ラインの大きな壁DF3石田悠太郎(3年)と多士済々。 1年から鍛え上げたセンターラインだけあって「チームの芯がしっかりしている分、今回のような苦しい試合でも粘り強く戦えた」と蛯名監督は胸を張った。 そして試合を決めたラッキーボーイ。後半34分にFW9大山に代わっての出場したDF22臼倉は「この大会で途中起用はありましたが、あまり試合に出られなかったので、ここでやるしかないと思いました」と思いのこもった決勝弾となった。 そもそもDF22臼倉の本職はセンターバック。まったくの未経験ながらFWのポジションで起用したが、その意図はなにか。海老根監督によれば、高さがあり、競り合いが得意なDF22臼倉を起用。しかし「(起用は)ギャンブルでした」と明かしたものの、見事に勝ちを呼び込んだ。 (文・写真=佐藤亮太)