日経平均は2025年に4万5000円までスルスル上がる…経済評論家が「その後も長期的に上昇基調」と読む納得の理由
■長期国債の利回り上昇で「株より国債へ」 ところが、そのマグニフィセント・セブンにも、2025-26年を前にして暗雲が立ち込めている。投資効率の問題が疑問視され始めているからだ。 米10年物の国債利回りが2020年1月に0.44%と最低をつけた後、右肩上がりに上昇している。2023年10月には一時的に5%を突破、2024年8月時点では約4%となった。「AIバブル崩壊」を予感させるほどのマイナス要因となりつつある。 たとえばマイクロソフトは2020年1月3日に158ドルで、2021年11月には343ドルまで上昇したが、徐々に上がる国債利回りに押されたのか2023年1月には224ドルまで下がった。 ところが、その後は再び上がり続け2024年7月の時点で467ドルまで上昇している。国債利回りが4%前後もあるのに、よりリスクの高い株式投資で株価がここまで上がるのは、リスクと期待される資金回収とのバランス、すなわち投資効率からしてどうなのか。 アルファベットも同様で、2023年1月に88ドルをつけた後はほぼ上がり続け、2024年7月には191ドルと2倍以上の株価となった。エヌビディアは2023年1月に14ドルだったものが、2024年7月には129ドルと9倍以上をつけていた。ところがその後ずるずると下げた。 2024年8月の決算発表後に時価総額が68兆円消失、日本の半導体関連銘柄にも波及する大暴落に発展した。 わずか4年半で長期国債の利回りが9~10倍になれば、「株を買うより確実な国債を」と考える人が増えるのは当然である。これがアメリカ株式市場に大きな影響を与え始め、これはまだバブル崩壊の前兆にすぎないだろう。 ---------- 渡邉 哲也 (わたなべ・てつや) 経済評論家 1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。主な著書に、『世界と日本経済大予測』シリーズ(PHP研究所)、『「米中関係」が決める5年後の日本経済』(PHPビジネス新書)のほか、『「中国大崩壊」入門』『2030年「シン・世界」大全』(以上、徳間書店)など多数。 ----------
経済評論家 渡邉 哲也