太陽光パネル「中国は補助金を大量に出し、戦略的に生産」 調達ルール具体化を 明星大・細川昌彦教授
中国の過剰生産の影響で太陽光パネルの価格が下落している。日本ではほとんどのメーカーが国内生産から撤退し、中国製品が多く流入しているとも指摘される。日本は今後、どう対応すべきか。経済産業省の元官僚で、経済安全保障に詳しい明星大の細川昌彦教授に聞いた。 ――中国の太陽光パネル過剰生産が指摘される 「明らかに過剰生産をしていて、価格も大きく落ちている。しかも中国はそれをある程度折り込み済みだ」 ――中国は過剰生産を否定している 「工場の稼働率も下がって過剰生産は明らかだ。表に見えないが地方も含めた巨額の支援で戦略的に投資した結果だ。額面通りに受け取ってはいけない」 ――世界中で価格競争が激化している 「世界生産の8割を占める中国製品の流入で海外企業は成り立たなくなっている。日本ではすでに多くは撤退に追い込まれている。欧州は日本に遅れて今メーカーの倒産、工場閉鎖が相次いでいる」 ――太陽光発電を巡り、日本は次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」で世界の主導権を握りたい考えだ 「日本は技術開発で先行しているかと思ったら中国が実用化、量産化で先行する動きもある。日本も土俵際で、政府も企業も相当スピードアップしないと負けてしまう」 ――再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされる日本の「再エネ賦課金」は太陽光パネルを生産する中国企業を利するとの指摘もある 「現状のままでは安い中国製品が入ってくるだけだ。太陽光発電は山林を破壊するし、大量導入で発電した電気を捨てる事態も起きている。本末転倒の事態が生じている」 ――今後の日本の再エネ政策の方向性は 「経済安保にかかわる物資について環境や人権の要素も加味して調達する仕組みを先進7カ国(G7)でも合意した。手遅れの感もあるが、太陽光、風力などで具体化を急がなければいけない」