阪神・藤浪の“無期限2軍落ち”に賛否。ネット上ではトレード案も
阪神の藤浪晋太郎(24)の“無期限2軍落ち”が決定した。藤浪は12日、ナゴヤドームで行われたオープン戦の中日戦に先発。すっぽ抜けの死球を警戒して左打者をずらりと並べた中日打線を相手に4回を投げてノーヒットの1失点(自責ゼロ)だったが、4四死球と荒れ、課題のコントロールに改善は見られなかった。カットボールを多用したが、その効果も見られず試合後、矢野監督は2軍落ちを通告した。スリークオーターに変えるなど試行錯誤を続けている藤浪が求めている形を作り安定感を取り戻すには時間がかかると判断したものだ。 だが、この決断に対してネット上では議論が沸騰。2軍落ちに対する賛否と共にトレードでの再出発を求める声までが多く出始めている。2軍落ちの処遇に関してはヤフーのコメントでは「2軍行きは当然。他球団に与えた影響を考えると遅すぎたぐらい。今後は1試合や2試合の結果ではなく長期プランで藤浪の再生を図って欲しい」というような賛同の声が目立った。 だが、SNSでは「どんなに悪くても1軍で帯同させることが1番だと思う」という反対意見と、藤浪を激励するコメントが多かった。 ファンの間でも賛否が分かれている。 元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏は、「何をどうしたいのか。藤浪自身が考えているのか、コーチが考えているのか。そのプロセスはどうなっているのか、本人はどう感じているのか。その内部事情は知らないが、そこをハッキリとさせておかないとゴールが見えないのではないか」という意見を語っていたが、2軍に落としたところで2軍のスタッフは、昨年まで1軍でコーチを務めていたメンバーである。 昨年、結果が出せなかった環境に再び、藤浪を放り込んで“改善”が図れるのか、という疑問はある。 沖縄宜野座キャンプで藤浪は徹底して投げ込みを行いフォーム作りに試行錯誤していた。その傍らには、いつも福原投手コーチがいた。 藤浪は「体を縦に使うこと」をテーマにワインドアップに変え、ボールに角度があり、左右にぶれることない球筋のボールを投げていた。だが、セットポジションになった途端に、また腕が横ぶりになり、抜け球、ひっかけ球が増えるという悪癖が顔を出す。キャンプでは、そのセットでのピッチングが課題になっていた。その後、体の使い方が横ならば、いっそのこと、それを生かそうという発想でスリークォーターに戻したが、その際にも、福原投手コーチが相談に乗っていた。そもそも、こういう大胆な変更は、その瞬間は結果が出て本人も感触をつかむが、重要なのは継続なのである。 藤浪が2軍に行くことは、福原投手コーチとのコンビが解消されるということになりチェック機能はなくなる。藤浪は、また自分ひとりで考え、試行錯誤を続けなければならなくなる。金本前監督は、何度も、藤浪を2軍に落として再調整を命じたが、結局、その手法では何もうまくいかなかった。矢野監督は2軍監督時代に、ただ2軍に落とすだけでは次につながらないことを見てきたはずだが、もう我慢の範疇を超えてしまったのだろうか。 阪神OBの評論家、池田親興氏も、2軍落ちの処遇に「今さら」と疑問符を投げかける。 「藤浪が求めているフォームや内容が、まだ不十分なのは、もっと前の段階でわかっていただろう。“今さら”という感じがしてならないし、首脳陣だけでなく球団が藤浪をどうしたいのか?という方針にぶれのようなものが見える。そもそも2桁勝っているピッチャーのフォームを最初にいじったのは球団なのだから。確かに阪神は、ピッチャーがいないチームではないだけに、この内容の藤浪にチャンスを与えるなら他のピッチャーにチャンスを与えたいという考え方が出てくるのも理解できる。結果は1失点だが、内容からすれば2軍落ちは当然だろう。だが、藤浪は、1軍でも2軍でも結果の変わらないピッチャー。1軍で1年間我慢して使う、という覚悟があっても不思議ではなかった。では今後、どうすれば1軍復帰が可能なのだろうか。2軍での結果なのか、内容なのか、フォームなのか。誰がそれをチェックして判断するのか。落とした以上、重要なのは、ここからの藤浪を支える体制じゃないだろうか」