はじめての「住宅ローン控除」は会社の年末調整でできない!? 税金で「損」をしないために会社員が確認すべきこと5選
「私は会社員だから税金関係は会社が全てやってくれるので確定申告しなくても大丈夫」と思っていませんか? 実は確定申告しないと控除されない項目もあるので、損をしないために確認が必要です。 本記事では、年末調整で精算できない医療費控除・ふるさと納税控除・雑損控除・1年目の住宅ローン控除・副業配当収入の注意点について解説します。
会社員の年末調整とは
会社員の所得税は、社会保険料や住民税と同様に、給与から天引きされるのが一般的です。 毎月分の給与にかかる所得税は概算で多めに天引きされているため、年末に還付されることがよくあります。このため、1~12月に支給された給与や賞与に対して、納めなければならない所得税額の精算を行います。これを年末調整といいます。この年末調整は会社側が行うため、会社から求められた申告書を提出すればよいと思っている人もいるでしょう。 しかしそれでは、精算されない場合もあります。年間の給料収入の額が2000万円を超えると年末調整の対象にはなりません。また、複数の会社から給与をもらっていて、どの会社でも年末調整がされていない場合や、年末調整で精算できない控除がある場合は、年明けの確定申告を個人で行って精算することになるので注意しましょう。
年末調整でできないこと5選
ここで前述した年末調整で精算できない項目を5つ解説します。 1.医療費控除 医療や介護で支払った費用は年末調整では精算できないので、確定申告が必要です。例えば所得が200万円以上ある人は、10万円以上の医療費の支払いがあれば所得税が還付になる可能性があります。1人分では少ないと思っても、扶養家族の分などを集めれば対象となる場合があるので領収書を探してみましょう。 2.ふるさと納税の控除(寄附金控除) ふるさと納税分を控除するために、確定申告が必要な場合があります。通常、1年に5自治体以内であれば、ワンストップ特例を利用すれば年末調整は不要です。 しかし、5つ以上の自治体に寄付をしていたり、寄付先にワンストップ特例の申請をしなかったりした場合は確定申告が必要となります。また、特例の申請をしていても医療費控除などで確定申告をした場合は、精算のため改めて確定申告が必要となるので気をつけましょう。 3.雑損控除 雑損控除とは、災害または盗難もしくは横領によって、一定の資産について損害を受けた場合等に所得控除を受けられる制度です。控除される金額は、次の(1)と(2)のうちいずれか多いほうの金額です。 (1)(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10% (2)(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円 雑損控除には細かいルールがあるので、控除を受ける際には税務署や税理士に相談すると良いでしょう。 4.住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)(1年目) 住宅ローン控除は、2年目から年末調整で控除を受けられますが、1年目だけは必要書類をそろえて自身で確定申告をする必要があります。添付書類には金融機関からの年末残高等証明書や登記事項証明書などの証明書も必要となるので、事前に準備しておきましょう。 5.副業・配当収入 給与以外に副業所得が20万円以上ある場合は、確定申告が必要です。ただし、20万円以下でも医療費控除などの確定申告をした人は確定申告をする必要があります。年末調整された源泉徴収票をもとに申告しましょう。なお、20万円以下でも住民税の申告は必要です。 また、株式の配当がある人で、配当控除を受けたい方も確定申告が必要です。確定申告が必要かどうかは、図表1を参考にしてください。 図表1