「水原氏の証言ひとつで大谷翔平が賭博スキャンダルで複数の罪に直面する可能性がある」…米法律専門家が米紙に見解
元連邦検察官で現在はニュージャージー州で弁護士となったロッコ・チパローネ・ジュニア氏は、「送金は犯罪行為ではない。しかし、大谷が不正な借金を返済することを知りながらブックメーカーに送金した場合、マネーロンダリングの幇助、教唆の罪に問われる可能性がある」との見解を示した。マネーロンダリングは最高20年の懲役刑が科せられる重罪。 「すべては大谷がそれを知っていたかどうかにかかっている」という。 だが、一方で前出の元連邦検察官であるリッチマン氏は「この場合、マネーロンダリングの罪は適用されない」との意見を持つ。違法なブックメーカーを使っての賭博行為は、軽犯罪であるためマネーロンダリングで起訴する要件を満たさないという。「多くは検察官の裁量にかかっている」と付け加えた。 次に「ジ・アスレチック」が、法律の専門家に意見を求めたのはIRS(内国歳入庁)が国土安全保障省と協同で進めている捜査の行方だ。 IRSの犯罪捜査部門が扱うのは、「脱税、マネーロンダリング、個人情報の盗難」などの連邦犯罪。大谷が水原氏の借金を肩代わりして送金していた場合、大谷が水原氏が違法賭博で作った借金であったことを知っていたかどうかは関係なく贈与か貸付かについて関心を寄せているという。もし贈与であれば、1万8000ドル(約270万円)以上の場合、大谷は贈与税を支払わねばならず、貸付の場合、税金を支払う必要はない。 また水原氏と大谷が連邦検察官の事情聴取を受けた場合、法律専門家らは「真実で一貫性のある対応が求められるだろう」との見解を述べた。元連邦検察官で現在はカルドソ法科大学院の法学教授であるジェシカ・ロス氏は「虚偽の証言をした場合には偽証罪に問われる」とした。この犯罪には最高5年の懲役刑が科せられる。 ドジャースでもプレーしたヤシエル・プイグは、2022年にウェイン・ニックスが運営するスポーツ賭博事業にかかわった捜査で、連邦捜査官に嘘をついたとの有罪を認め、罪状認否が取り下げられたこともある。 だが、「ジ・アスレチック」が取材した前出の弁護士らの見解によると「検察が水原氏と大谷氏の両氏を起訴するかどうかは不明。連邦検察官が違法なブックメイキング業務で賭博した者を追及することはめったにない」という。 それでも大谷に知名度があり、今回のスキャンダルの社会的な影響が大きいため、前出の元連邦検察官のリッチマン氏は、「検察官が事件の追及に関心を寄せる可能性がある」とも指摘している。 大谷の代理人事務所は「大谷が大規模な窃盗被害にあったこと」を当局に報告している。捜査当局は、水原氏を窃盗の容疑で捜査しているのだろうが、もし水原氏が、大谷の声明に相反するような供述をした場合、「ジ・アスレチック」が取材したように大谷が「複数の罪に直面する可能性」も出てくる。水原氏の最後の発言は、大谷が会見で語った話を肯定するものだったが、韓国での開幕戦(20日)以降、水原氏の所在は確認されていない。
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