来月引退のドクターイエロー、「リニア・鉄道館」で展示へ…展示中の先代車両は石川に
JR東海は、来年1月に運用を終える新幹線検査用車両「ドクターイエロー」(T4編成)について、同社の資料館「リニア・鉄道館」(名古屋市港区)で車両の一部を保存・展示する方針を固めた。現在展示中の先代車両(T3編成)は来年5月以降、石川県白山市の観光施設で再展示される。(福永健人) 【地図】引退後のドクターイエローが展示される施設
T4編成(7両)は2001年に運用を開始。700系新幹線をベースに作られ、JR西日本が運用するT5編成(同)とともに東海道・山陽新幹線の東京―博多間で線路や架線の検査を行ってきた。車体や検査機器が老朽化するなどし、T4編成は25年1月に、T5編成は27年以降にそれぞれ運用を終える。
JR東海は引退に合わせて、乗車体験や車体清掃体験などのイベントを企画して花道を飾る。運用終了後は、リニア・鉄道館で展示する予定で、保存する車両数など詳細を検討中だ。現在展示中のT3編成については、リニア・鉄道館側が所有者のJR西に対し、来春返却すると連絡した。
「T3」根強い人気
これを受け、JR西は北陸新幹線白山総合車両所に隣接し、今年3月に開館した白山市の観光施設「市立高速鉄道ビジターセンター(トレインパーク白山)」への移設を市に打診し、了解を得た。屋外の正面広場で常設展示する。
1979年~2005年に運用されたT3編成は、丸みを帯びた形から「団子鼻」の愛称で親しまれた0系車両がベース。同じ「団子鼻」のT1、T2編成は解体されており、現存するT3編成は、鉄道ファンに根強い人気を誇る。
市の担当者は「北陸新幹線延伸開業2年目の目玉として、大変貴重な車両を迎えることができて光栄。幸せを運んでくれるパワーにあやかりたい」と話している。
◆ドクターイエロー=正式名称は「新幹線電気軌道総合試験車」。黄色の車体が特徴で、1964年の東海道新幹線開業以来、T1からT5まで5種類の編成が登場した。運行ダイヤは不定期かつ非公表のため「見たら幸せになる」として人気がある。