真央、宮原は、なぜ女子SPで出遅れたのか。
“新エース”宮原は、3回転フリップが回転不足となったことが響いた
ミスパーフェクトと呼ばれるほど、バランスを崩すなど、ミスのないのが宮原の強みだったが、なぜ回転不足となってしまったのか。前述の中庭氏は、「メンタルの影響を大きいのではないか」と見る。 「昨シーズンまでは、挑戦者の立場で重圧がなかったでしょうが、今回は、優勝候補の一人として注目され大会に入りました。そういう立場の変化が重圧になったのではないでしょうか。宮原選手が、ジャンプでミスを冒さないのは、高さはないが効率よく可能な限りの回転力と身のこなしで成功させる技術、能力にあります。しかし、最低限の高さは必要で、その高さに満たず目測を誤ると、ごくたまに練習でも回転不足に陥るミスを冒すときがあります。今回は、重圧がそういう稀なケースを生み出してしまったのかもしれません。 一方、本郷選手は、挑戦する立場で、その気持ちをそのまま演技につなげることができました。3人のそれぞれの違ったメンタルの状況が結果に出てしまったのではないでしょうか」 確かに宮原は、「大きなミスがなくて、全体的にはよかったが、ジャンプではちょっと緊張した」とコメントしている。 “ちょっと緊張した”が重圧であり、回転不足というミスの要因だったのかもしれない。 では、SPで出遅れた日本女子勢のフリーでの逆転は可能なのか。6位の宮原はトップのゴールドに、わずか5.71点差だ。中庭氏は、キーマンは真央だと言う。 「浅田選手は、すべての出場選手の憧れの存在です。その彼女がトリプルアクセルに成功するかどうか。トリプルアクセルの成功から、素晴らしい演技でまとめれば、後の選手に大きなプレッシャーをもたらします。SPでは、上位の選手がミスをせず、70点台以上のレベルでの戦いになりましたが、女子のフリーでは、そうはいきません。そこに前で、高得点を出されると、心理的影響は計り知れません。 宮原選手は、ミスがないのが特徴ですからプレッシャーを受けた上位の5人がミスを重ねて自滅してくれれば、確実な演技をしてくる宮原選手が抜き去る可能性が出てきます。浅田選手の出来次第で、日本選手3人、すべてにフリーでの逆転の可能性が生まれるのではないでしょうか」 浅田のフリーの選曲は「蝶々夫人」。「最後は悔いのないようにしたい。自分らしく蝶々さんを演じたい」と言う。宮原も「フリーではもっとノビノビと滑れるようにショートとは違う自分を見せたい」と、堂々の決意表明。本郷も「楽しんで滑りたい」と挑戦者の気持ちを失っていない。 勝負のフリーは、日本時間の明日、3日だ。