『Eye Love You』花岡が抱いた“密やかな恋心” 侑里はテオとどちらを選ぶのか?
侑里(二階堂ふみ)はテオの“サランヘヨ(愛してる)”の本音を“テレパス”で読み取るなり、自分の中にも確かにしっかりと芽生えている彼への好意を否応なしにも自覚する。いよいよ両想い真っ只中のテオと侑里の2人が観られるのかと思いきや、今度は花岡からの“ずっと好きだった”という予想外の本音を知ってしまった侑里は大混乱。テオと出会って初めて相手の心の中を覗きたいと思えるようになった侑里が、ずっと近くにいた人の本音にさえ気づけていなかった自身の不甲斐なさに打ちのめされる。第6話では、そんな3人で北海道へ出張に行くことになる展開が待ち受けているようだ。 【写真】『Eye Love You』場面写真(複数あり) テオの登場以来、ずっと様子のおかしい侑里のことを訝しげに見つめる花岡の視線の変化が見事だ。最初は共同経営者として何だか仕事に身が入っていない侑里のことを見張り、どこか戒めるかのような厳しく冷めた視線があった。後半になるにつれ、それがどんどん切羽詰まったものになっていく。テオのことを自然と目で追ってしまう侑里以上に、全てをわかった上でそんな侑里を見守る花岡のやりきれない目線が切なさを加速させていく。 ショコラフェスティバルの後、侑里の健闘を労おうとサンドイッチの差し入れをした花岡。勝った方が好きなものを選べるジャンケンで、自身のテレパスが発動しないように目を瞑ってジャンケンに臨んだ侑里に対して後出しでこっそり負けて彼女に好きなものを選ばせる花岡のあまりにさりげない誰にも気付かれない優しさには泣ける。2人してサンドイッチを頬張りながら、侑里のインスピレーションの源泉になり心を動かした花の贈り物を眺める花岡の表情にも、また何とも言えない複雑な感情を感じたその贈り主が誰なのかおおよそ見当はついているものの、あえて確認はしない。確認してその名を聞いてしまえば、侑里の心に既に居着いている彼の存在を自分も認めてしまうような気がするから。 侑里の体調を気にしながらも、あえて深い意味が含まれぬように細心の注意を払いながらビジネスライクに言う花岡の「あとで体調崩されてもこっちが困るから」がまた胸に刺さる。自分で自分を枠に押し込めてそんなふうにしか伝えられない花岡からすれば、自由に猪突猛進に侑里への想いを口にできるテオはさぞかしうらやましく眩しい存在だったのだろう。長年培ってきた信頼関係や固い絆がこと恋愛になれば2人の関係を固定させすぎてしまう超えられない壁になり、花岡に自分が身を引くことを決意させる。 ●自分だけが蚊帳の外のような感覚を覚え続けていたテオ(チェ・ジョンヒョプ) テオはテオで「侑里の夢を叶えるのが生きがい」と社員全員が口を揃えて言う花岡と、彼女の歴史や関係性に自分だけが蚊帳の外のような感覚を覚え続ける。侑里がピンチの際に真っ先に頼るのはいつも花岡で、大学での講演前のトラブル時にも侑里は自分のことを通り過ぎて花岡に駆け寄っていた。仕方のないことだとわかっていても、テオは自身の無力感に打ちひしがれているかのような表情を見せていた。 自分と出会うより先に侑里と出会い、大切なものを共有し合って会社をここまで一緒に育ててきた花岡に対してテオが焦りや嫉妬心を抱くのは想像に易しい。だが、自分と過ごした時間の中では到底引き出せなかった侑里の感情や表情や閃きを次々に刺激するテオに対して、花岡が抱く危機感や圧倒的敗北感などの感情はまた何とも言いようのないものだろう。 感情に振り回されないという侑里の性質をビジネスの上では信頼し手を組んだはずの花岡が、気づけば彼女のことを好きになっていた。「侑里は恋愛体質ではない」と思い込み、自分の気持ちを改めて自覚することも伝えることもなしに特に何の発展も望まず、ただこれからも当たり前に頑張る侑里の隣には誰より近く自分が居続けるものだと花岡は信じて疑わなかっただろう。そのある意味謙虚で密やかな恋心にも胸が張り裂けそうになる。 何でもストレートに見返りなんて求めずに差し出してくれるテオと、秘めたる気持ちを隠しながらいつだってサポートし続けてくれた花岡。一方を選べばもう一方を傷つけてしまうことは避けられず、“テレパス”を授かってしまった侑里にはより酷な選択だ。ならばいっそどちらのことも選ばないという決断をしたくなるのも無理はないかもしれない。侑里はどうやって相手の本音にも自分の本心にも向き合うのか。その上でどんな選択をするのだろうか。
佳香(かこ)