最後まで全力で、真剣で、誰より走って、いつも通りだった中村友亮「自分が最後ということを忘れてしまうくらい楽しめた」【Fリーグオールスターゲーム】
3月19日、墨田区総合体育館で行われた『Fリーグオールスターゲーム2024 TOKYO ~Fun For Fan Futsal Festa~』。投票で選ばれた32名の選手は「FリーグEAST」と「FリーグWEST」の2チームに分かれて戦い、最終スコアは3-3に。PK戦でも決着はつかず、試合は引き分けに終わった。 総数28枚!写真で振り返るFリーグオールスターゲーム 今シーズン限りでの現役引退を表明しているしながわシティ・中村友亮にとっては、紛れもなくこれが「Fリーグラストマッチ」。そんな舞台で見せた彼のプレーは“いつも通り”だった。前線からの激しいプレスと、フリーランニング、献身的な守備、攻守においてどんな時も全力で、誰よりもピッチを縦横無尽に駆ける姿に、誰もが引退を惜しんでしまったに違いなかった。 ただ、本人は少し、違う感想を抱いていたようだ。「寂しさ」よりも最初に口をついて「楽しかった」という言葉。フットサル選手としての区切りをつける中村は、最後の瞬間まで、純粋に競技を楽しみ尽くすアスリートだった。 試合後、最後の言葉を聞こうと、取材エリアで話を聞いた。
感慨深さより、楽しさのほうが強かった
──オールスターゲームはどうでしたか? 楽しかったです。僕は初めてだったんですけど、純粋に楽しかったです。普段は一緒にできない選手とのプレーは、難しさもありながら、点も入りましたし盛り上がって、僕自身すごく楽しめました。 ──なんというか、ここでも変わらない姿を見せてもらいました。ハーフタイムや試合後にデータで発表がありましたけど、一番走っている選手は、実は中村選手だったのではないかと個人的には感じています。 いやいや、データが正しいですよ。ところどころサボっていたので(笑)。 ──これが最後のFリーグのピッチでした。そうした感慨深さも? いや、もうちょっとあるかなと思ったのですが、楽しさのほうが強かったですね。自分が最後ということを忘れてしまうくらい楽しめたので、あまりそういう感情が出てこなかったですね。 ──メンバーも普段とは違うという部分もあるかもしれないですね。 そうですね。代表とかで一緒にやった選手や前のチームで一緒だった選手、それに全然やったことのない選手もいるなかで、いろんな選手とできることが純粋に楽しかったです。 ──こいつはすごいなって選手はいました? いやもう、みんなですよ。うまいしすごい選手なので。でも特に僕らのセットの上村充哉選手は、一緒にやったこともなかったんですけど、僕がちょうど前に入った時に(ピヴォ当てを)出してくれて、左足だったら入ってくるだろうなって思ったらやっぱり入ってきてくれた。そのあたりはやったことがないのにイメージを共有できた。みんなレベルが高い選手なので、考えていることが同じなのかなって感じました。 ──もう何度も言われたかもしれないですけど……あのパフォーマンスを見せられてしまうと、まだこの舞台で見たいなって、やっぱり思ってしまいます。 ありがたいですよね、そう言ってもらえるのは。でも自分のいろんなタイミングがあって、(引退するのは)ここかなという感じだったので。 ──自分が最後だと忘れるくらいだったということでしたが、試合が終わって今もまだ実感はなく? そうですね。僕はあまり深く考えるタイプではないので、これで終わりかという感じにはならないですね。プレーはもうやらないんですけど、それほどこれで終わったなぁと、沁みる感じはないですね。 ──徐々にくるんですかね。 どうですかね。自分のなかでやり切ったという思いもあるので、未練がない。だからそういう感情がわかないのかもしれないですね。 ──F2で得点王になったアグレミーナ浜松の山桐正護選手とは、一緒にやっていましたよね。 そうです、浜松の時にですね。アップ前には話をしましたよ。あいつ、話すのがあんまり得意じゃなくて、相手のチームで浮いていたので声をかけてあげました(笑)。 ──山桐選手はリーグでもすごい勢いでゴールを量産していましたよね。 そうですね。一緒にやっていた頃から、ポテンシャルがすごく高いと感じていたので、それが今、爆発しているなと思っています。本当にいい選手ですね。 ──今日、一緒にやった選手もそうだと思いますが、Fリーグには若く生きのいい選手が増えましたよね。 そうですね。今度、僕は見て応援する立場になりますけど、若くてもめちゃくちゃいい選手が多いし、いっぱい出てきているので、プレーでも盛り上げてもらえたら僕も楽しめると思います。やっぱり、個人的には所属してきたチームを応援してしまうと思いますけど(笑)。 ──でも、中村選手のように“ボールを持ってなくても”魅せられる選手は貴重ですよ。 玄人の人はよくそう言ってもらいますけどね(笑)。ありがとうございました!