【フォト・ジャーナル】高橋邦典 第4回 /#03 脱走した若い米兵
イラクで米陸軍に従軍し、取材していた時のことだ。年に一度の休暇でアメリカに戻った20歳の若い兵士ムニースが、そのまま逃亡し戦場に戻ってこなかった。 兵士の脱走は死刑になる可能性もあるほど罪が重い。兵士になる前は、麻薬密売で稼いだ金で、一晩に数千ドル使う程の豪勢な生活をしていたというムニース。歩兵としてパトロール中に町を歩くのが嫌で、自らドライバーを志願したという小心者の彼の眼に、バグダッドの戦場はどううつっていたのだろう?いっそうのこと、ムニースのように米兵全部が脱走してしまえば、いらぬ戦争などしなくてもすむのになと、僕は思った。(撮影:2007年6月)