アバター接客、コンビニや携帯電話ショップに広がり…成約に好影響もたらす業種も
コンビニや保険業界などで、自宅などからアバター(分身)を遠隔操作して接客する試みが広がりつつある。国内で深刻化する人手不足を補うとともに、多様な働き方を実現して病気の人にも就労の道を開くなど、新たな接客スタイルとして注目されている。(山口翔平) 【グラフ】アバターなど遠隔接客サービス提供の企業数推移
9月19日午前、東京都豊島区の「ローソン北大塚一丁目店」では、セルフレジ横に設置されたモニターに表示された女性のアバター「あおいさん」が客に声をかけていた。声の主は都内に住む女性(48)。2022年頃に全身の筋力が低下する難病を発症し、自宅で寝たきりの生活を送っている。
以前は、病院や福祉事業所で障害者の就労支援などの仕事をしていたが、発症後は働けなくなった。そんな中、ローソンが「週1回から自宅勤務可能」との条件でアバターのオペレーターを募集していることを知り、応募した。今年5月から最大で週3日、1日あたり1~2時間、体調とも相談しながら接客に当たっている。
女性は、客から「ありがとう」「また来るね」と言ってもらえることにやりがいを感じるといい、「仕事を通じて、自分がやれる範囲で社会貢献ができていることがうれしい」と話す。
ローソンは22年11月、主にセルフレジの使い方が分からない客に対応するため、アバターによる接客システムを導入。現在、東京、大阪、福岡など全国6都府県の18店舗で展開し、障害者や主婦、フリーターなど計約60人がオペレーターとして働いている。25年度には1000人に増やす計画だ。
人材難
市場調査会社「シード・プランニング」(東京)の動向調査によると、アバターやロボットなど遠隔接客サービスを提供する国内の企業は、18年の11社から23年には42社に増加。うち半数の21社で、人間や人工知能(AI)がオペレーターとなって遠隔操作するアバター方式を採用している。年々拡大中の市場規模も、24年は112億円に上り、25年には127億円になると予測する。