一時代を築いても努力し続ける「ORIGINAL LOVE」田島貴男が語る音楽観
♪長く甘い口づけを交わす――。おそらく誰もが耳にしたことのあるフレーズでしょう。この『接吻』を筆頭に数々のヒット曲を生み出してきた「ORIGINAL LOVE」。その創始者であり、メインソングライターでもある田島貴男さん。今回弾き語りツアーと新作のキャンペーンのために札幌を訪れた田島さんに、自身の音楽への姿勢や特徴について聞きました。
『接吻』はウラを使う洋楽的メロディー
ORIGINAL LOVEの楽曲をカラオケで歌う人も多いと思いますが、筆者のような“ロック小僧”出身者にとってはとても難しく感じたものです。しかし、あのソウルフルな楽曲を何とかモノにしたかったのも事実。 「確かに難しいかもしれません。いわゆる“ウラ”(二拍目・四拍目にアクセントを置く)を使う、洋楽的なメロディに日本語の歌詞を載せているので。先日、サザンオールスターズの『いとしのエリー』をカバーする機会があったんですが、この曲もまた“ウラ”のリズムで、桑田佳祐さんとは『ルーツが同じなんだろうな』と思いました」と田島さん。「実は僕が作る仮歌は、最初はデタラメな英語の詞が乗っているんです。そのデタラメな英語を日本語にしていくので、洋楽的なメロディに日本語をはめると譜割りはすごく特徴的になってしまうんです」と、作詞・作曲の際の裏話も教えてくれました。 このように洋楽的なテイストを取り入れたスタイルで、J-POPに大きな軌跡を刻んできたORIGINAL LOVE。筆者が「これだけたくさんのヒット曲が生まれたのも、田島さんの才能によるところが多いと思うのですが」と質問を投げかけたところ、「才能? 僕には才能はないですよ」と笑うのです。 「自分の才能はここまで、というのは自分で分かるんですよ。でも、その上をいかないと、音楽でご飯を食べることはできない。なので、常にいろいろな音楽の勉強は続けています。多分、ミュージシャンの才能というのは、そういうことなんだと思います。巨匠と呼ばれる方にお話を聞くと、皆さんとんでもない努力をしているんです。でも、それは表に出て来ません。ということは、“努力込み”のものが才能と呼ばれているんだと思います」