ロサンゼルス・オリンピックは「個人種目で出場したい」 学生個人100mと200m制覇の山形愛羽、世界リレーを経て思い新た
「強くなるんだったら福大しかない」
強いチームメートたちと一緒に練習することが、自身の成長につながっていると山形は言い切る。たとえば同級生には、昨年のインターハイで優勝を争った柴藤凜(福大若葉)や江原美月優(神辺旭)らがいる。他にも久保山晴菜(現・今村病院)や兒玉芽生(現・ミズノ)といった、卒業生のトップアスリートとも走ることがある。「練習から日本選手権の決勝レベルで、お互いに意識し合ってできています」と山形。練習から高いレベルで競い合っているから、レース本番に臨むにあたって不安はまったくないと言う。 福岡大に進んだ理由は「強くなるんだったら福大に行くしかない」という直感から。高校時代までは「感覚」に頼る面が大きかったが、大学では動きの一つひとつまで考えて走ることを心がける。「スピード練習や追い込み練習の1本1本について、信岡(沙希重)先生が細かく教えてくださります。アップ中からアドバイスをいただけるので、それをきちんと自分の頭の中で整理して、走りにつなげられていると思います」 久保山や兒玉と練習して学べることは? と尋ねられると「一つひとつの動きに集中されていて、『どうしたらそのような動きになるのか』を先生たちと話している姿が、本当にすごいなと思います。自分も動きを確認、相談しながら進めていきたいです」と教えてくれた。
ロサンゼルス・オリンピックは「個人種目で出たい」
今シーズンは、5月にバハマで開催された世界リレーに日本代表として出場し「世界で戦うためには、まだまだ足りない」ということを実感した。特に100mは「11秒前半とかじゃなくて、10秒台を出さないとまずは話にならない。今までは夢みたいに『10秒台を出したい』と言っていたけど、今は本当にめざしています。ここまで来たらかには、しっかり自分の走りと向き合って、陸上人生を続ける中で10秒台を出していきたいです」。世界の舞台を経験したことで、4年後のロサンゼルス・オリンピックは「個人種目で出たい」という思いを新たにした。 国内の女子短距離勢は、ここのところ苦戦が続いている。福島千里さんが100mの日本記録(11秒21)を打ち立てたのは2010年。今夏のパリオリンピックは個人種目での出場は現状で厳しく、4×100mリレーも出場を逃した。ただ、山形は言う。「信岡先生も『絶対に日本の女子はできる』と言っているので、自分が最初に世界の決勝に行くところを見せたいです」 世界リレーでは、海外選手との体格差や筋肉の付き方の違いを痛感した。「練習量から海外選手を超えないと、強くなれない。海外選手に勝つためにはどうしたらいいのかを考えて、取り組んでいきたいです」。これまであまり採り入れてこなかったウェートトレーニングも少しずつ始め、まだまだ伸びしろはある。 日本選手権では、2種目ともにメダル獲得を狙う。タイムとしては、今年中に100mで11秒3台、200mで23秒4台を出すことをめざす。一つずつ目標をクリアし、いずれは国内トップにとどまらず、国際舞台での活躍を視野に入れている。
山形愛羽のレース内容
6月15日@レモンガススタジアム平塚(神奈川) 100m予選(風+0.8)11秒68 100m準決勝(風+3.4)11秒36 100m決勝(風+1.7)11秒41 6月16日@レモンガススタジアム平塚(神奈川) 200m予選(風+0.6)24秒48 200m準決勝(風+2.8)23秒77 200m決勝(風+1.4)23秒53
井上翔太