強盗殺人の甥に無期求刑 釧路地裁
2016年1月、北海道釧路市愛国西の無職田中弘子さん(当時80歳)を殺害したとして、強盗殺人の罪に問われている弘子さんのおいで釧路市芦野1、無職田中治樹被告(51)に対する裁判員裁判の第13回公判が14日、釧路地裁(井草健太裁判長)で開かれた。検察側は「さまざまな状況証拠から被告人が犯人であると強く推認される」と田中被告に無期懲役を求刑、弁護側は「犯行態様に関する直接的な証拠がない」と無罪を主張し結審した。 起訴状などによると田中被告は、16年1月14日午後5時30分~同6時ごろまでの間、弘子さんの頭部を鈍器のようなもので殴打し脳挫傷により死亡させ、現金約20万9000円を奪ったとされている。弘子さんは翌15日、頭部にビニール袋をかぶせられた状態で自宅で倒れているのを知人が発見した。 検察側は、「金銭的に困窮していた被告が、犯行可能時間帯直後に20万8000円を銀行口座に入金しており、そのうちの1万円札3枚は、弘子さんが12月に引き出したものと紙幣番号が一致している」、「田中被告が借金返済のため、14日に弘子さん宅に訪問するという証言もあり、金を奪う動機もあった」と指摘。 弁護側は「検察側が指摘する1万円札3枚は、12月に弘子さんから借りた10万円の中に含まれていた」とし、「犯行に使用された凶器が見つかっていないことや、被告から弘子さんの血痕が検出されるなどの直接的証拠がない」と無罪を主張した。 田中被告は最終陳述で「自分のだらしなさで疑われ、家族や友人に迷惑をかけてしまったことは後悔している。事件発生直後から犯人と決めつけられているが、私は弘子さんを殺していないし、お金も奪っていない」と述べた。判決公判は3月4日午後3時から同地裁で開かれる。
釧路新聞