ウィキリークス創設者の追加裁判を認める 米政府への引き渡しは延期
【ロンドン=黒瀬悦成】英高等法院は20日、英国で拘束中の内部告発サイト「ウィキリークス」創設者ジュリアン・アサンジ被告(52)の米国への身柄引き渡しをめぐり、被告による不服申し立てを認め、追加の裁判を始めることを決めた。申し立てが認められなければ、被告は即時に米国に移送されることが見込まれたが、移送は当面先延ばしされることとなった。 アサンジ被告は米国で軍事機密文書を暴露した罪などに問われ、英国で拘束されている。 高等法院は2021年に被告の引き渡しを認め、英政府も承認したが、被告側は「米国では公正な裁判が受けられない」として移送停止を申し立てていた。 高等法院は今年3月、被告の主張を受け、米政府に公正な裁判の実施を保証する文書を求め、米政府は4月に回答文書を提出。しかし高等法院はこの日、被告の主張を支持する形で追加の審理を認めた。 被告が米国に移送され有罪となれば、最大で175年の禁錮刑を言い渡される可能性がある。 被告は体調不良を理由に出廷しなかった。 被告の出身国であるオーストラリア政府は、米政府に被告の起訴を取り下げるよう求めている。バイデン米大統領は4月、豪州政府の呼びかけに応じ、起訴の撤回を「検討している」と述べた。