親の年収で子どもの体験に格差…水泳にピアノ、キャンプ…「友だちが行ってるから」では行かせてあげられない厳しい現実
子ども目線で「放課後」を考える
「放課後」の習い事やクラブ活動は、すべての子どもたちが「するべきもの」、「しなくてはならないもの」ではない。「最近の子どもは習い事が忙しすぎて、遊ぶ時間も十分にとることができずにかわいそうだ」といった声を聞くこともあるが、正当な懸念だろう。 先日、首都圏の私立高校に通う学生と話す機会があった。彼の友人は、親の意向で嫌いな習い事を渋々続けているそうだ。 やりたいことができるのは大事。だけど、やめたいと思ったときにやめられることもまた、大事だと思う。 そんな彼の言葉に賛同する。この社会には、望んでいない「体験」をさせられる子どもたちもいれば、やってみたい「体験」があるのにできない子どもたちもいるのだ(させてあげたいのにさせてあげられない親たちも)。 子どもたち一人ひとりに合った形で、一人ひとりが望む形で、放課後の時間を過ごすことができるべきだろう。友達と自由に遊ぶ時間。ぼーっと過ごす時間。習い事をする時間。 それらをどんなバランスで組み合わせたら、目の前にいる「この子ども」にとって良いと言えるだろうか。こうした問いに真摯に向き合い、大人の目線や都合から捉えるのではなく、その子ども自身の目線で、子どもの権利という観点を第一に、一緒に考えていくこと。それが子どもたちに対する、大人たちの責任であるだろう。 文/今井悠介 写真/shutterstock
---------- 今井悠介(いまい ゆうすけ) 1986年生まれ。兵庫県出身。小学生のときに阪神・淡路大震災を経験。学生時代、NPO法人ブレーンヒューマニティーで不登校の子どもの支援や体験活動に携わる。公文教育研究会を経て、東日本大震災を契機に2011年チャンス・フォー・チルドレン設立。6000人以上の生活困窮家庭の子どもの学びを支援。2021年より体験格差解消を目指し「子どもの体験奨学金事業」を立ち上げ、全国展開。本書が初の単著となる。 ----------
今井悠介