『市場には人の温かさがある』店主1人で切り盛りする市場の大衆食堂...「おば・妻・友人の妻」もお手伝いに 『いろんな人に助けられている』大阪の飲食店で感じる人情
大阪の市場内に、店主1人で切り盛りする小さな食堂があります。午前4時半に開店し、午後0時半に閉店。人との出会いや支え合いの大切さを感じられる、ある日の1日を取材しました。 【写真を見る】大衆食堂「当志郎」…市場で仕入れた新鮮なネタを味わうことができ、毎朝行列ができる
店名の意味は“男の志を当てる”…主人1人で切り盛りする小さな食堂
大阪木津卸売市場(大阪・浪速区)。300年を超える歴史を誇り、“食い倒れのまち”大阪の台所として市民の生活を支えています。そんな市場の一角にあるのは大衆食堂「当志郎」。大衆食堂らしくガラス棚には焼き魚が並びます。さらに、市場で仕入れた新鮮なネタがたっぷりのった海鮮丼や、下町の味・肉吸いもメニューに。 10席しかない市場の小さな食堂を定点観測しました。 午前2時30分。木津市場の朝は早く、深夜の静けさのなか動き出します。この時間に出勤するのが「当志郎」の主人・岩間伸五さん(53)です。食堂の1日も市場とともに始まります。 (岩間伸五さん)「全部荷物出して、いまから米を洗って仕込み」 開店は午前4時30分。それまで休憩なしで刺身を準備したり魚を焼いたり1人でこなします。 昭和25年(1950年)に開店した「当志郎」。両親のあとを継ぎ、伸五さんで3代目です。店は市場のセリ人で食い道楽だったおじいさんが始め、「当志郎」と名付けました。 (岩間伸五さん)「最初はセリ人をやっていて、飲食店は素人やからと言って。素人は『とうしろう』、とうしろうの漢字を当てはめたら“男の志を当てる”、一発当てたんでみたいな」 この日、1組目の客は市場のそばで焼肉店を営む常連の男性。飲み友達の女性と一緒にやって来ました。 (男性)「裏手の立ち飲み屋とか何軒か開いているので、そこで飲ませていただきました。(Qかなりお酒がはいっている?)ベロベロです」 仕事が終わってから徹夜で飲みまわり、ここが〆の店。2人で飲んでいると、店に来たのはカラオケバーで働く女性。午前5時に仕事が終わり、駆けつけました。 (女性)「こうやってワイワイして飲んで、将来について話したり、ちょっと愚痴ったり、仲良しで飲むねんね」 気の合う仲間と明け方のお疲れさま会はこれからスタートです。