徳島県内高齢ドライバーの免許返納、4年連続前年下回る 関係する交通事故割合は増加傾向、進まぬ背景とは?
徳島県内の高齢ドライバーの運転免許返納者数が減少している。2023年に自主返納した65歳以上の高齢者は2031人。過去最多だった19年から4年連続で前年を下回った。新型コロナウイルス禍で外出の機会が減ったことで、自主返納への意識が薄れたのが要因とみられる。 徳島で交通事故が最も多い時間帯は?月は? 最も少ない自治体は? 県警運転免許課によると、高齢の自主返納者数は返納制度が周知されるに伴い、19年まで増加傾向にあった。同年には東京・池袋で高齢者が運転する乗用車が暴走して母子が亡くなる事故があり、県内で3686人が返納した。 新型コロナが流行し始めた20年は前年を634人下回った。21年以降も毎年減っており、23年は19年の55%となった。今年は10月末時点で1745人。 同課は「コロナ禍で外出が減り、返納の機会を逃した人がいるのではないか。公共交通網が十分に整っていない地域が多いのも返納減少の背景としてあるだろう」とみる。 通院などで日常的に運転をしている徳島市の男性(78)は「車がないと移動に困る。バスで行くにも限りがある」として、免許を返納するつもりはない。買い物で車を使う北島町の女性(80)も「返納するメリットをあまり感じない」と話す。 県警によると、県内で65歳以上のドライバーが関係する交通事故の割合は増加傾向にあり、13年の30・1%から23年は40・4%となった。 県運転免許センター(松茂町)では、自分の運転技術を知ってもらうための「運転技能簡易教習」を月2回、無料で実施。警察官が助手席に乗り、運転操作を確認しながらアドバイスしている。運転に不安を感じている受講者には免許返納を勧める。 運転免許課は「自分は大丈夫と思っていても、高齢になるととっさの判断力は確実に落ちる。事故を起こしてからでは遅い。少しでも不安なことがあれば相談してほしい」とする。 県警は希望した65歳以上の自主返納者に運転経歴証明書を交付。県は証明書を提示すると割引サービスが受けられる飲食店やレジャー施設、路線バス、タクシー業者などをまとめたガイドブックをつくり、利用を促している。