【コラム】第49回「現在のダニエル・リカルドをどう評価したらいいのか」|F1解説者ムッシュ柴田のピットイン
評価が難しい?34歳のベテラン、リカルドとは
左手骨折の大ケガから復帰して3戦を走り終えたこの機会に、改めてダニエル・リカルドについて論じてみようと思います。というのもこの人、なかなか評価の難しいドライバーに思えるからです。 【F1™|ハイライト】F1™2023第21戦 ロレックス・サンパウロGP 決勝|2023 1989年7月1日生まれ、現在34歳のリカルドがF1デビューを果たしたのは、トロロッソのリザーブだった2011年のことです。シーズン途中のイギリスGPよりHRTから出走の機会を得たものの、同チームは競争力がなかったため、参戦した11レースは上位争いと無縁でした。 2012年にトロロッソからF1フル参戦を果たし、F1で4年目となる2014年にレッドブルへ昇格。ここでいきなり3勝を挙げ、タイトル4連覇(2010年~2013年)の実績を誇るセバスチャン・ベッテルを予選でも決勝レースでも撃破(2014年のポイント数はリカルド238点/ベッテル167点)し、結果的にベッテルをフェラーリへと追い出しました。 ところが翌2015年は、マシンの戦闘力不足もありましたが結果的に未勝利。新たなチームメイト、ダニール・クビアトにも僅差ながらポイント獲得数で負けています(リカルド92点/クビアト95点)。 2016年にはマックス・フェルスタッペンが、第5戦スペインGPから途中昇格してきました。この年(リカルド256点/フェルスタッペン204点※序盤4戦はトロロッソから出走)、そして全レースリカルド&フェルスタッペンのセットだった2017年(リカルド200点/フェルスタッペン168点)も、リカルドが選手権で上位を得ています。 ちなみに2023年現在、圧倒的な強さを示しているフェルスタッペンがF1で負けた唯一のチームメイトは、今のところこの2016年、2017年のリカルドだけです。
レッドブルを去り、他の名門チームを渡り歩く
しかし2018年は、マシントラブルで6回もリタイアしたとはいえ、フェルスタッペンに80ポイント近い大差(リカルド170点/フェルスタッペン249点)をつけられました。 この成績、及びフェルスタッペン中心となっているチーム体制への不満が、翌年のルノー移籍への決断を後押ししたことは間違いないでしょう。 しかしルノーとは喧嘩別れの形で、2年も持たず。成績も最高位は2020年に記録した2回の3位表彰台にとどまりました。 2021年からはカルロス・サインツの穴を埋める形でマクラーレンに移籍。若手のホープ、ランド・ノリスとの直接対決が大いに注目されるなか、独特のマシン挙動に手こずりながらも2021年はイタリアGPでマクラーレンに9年ぶりのF1勝利をもたらしました。ですがシーズンを通じてみると安定感でノリスにかなわず(リカルド115点/ノリス160点)。マクラーレン2年目の2022年にはノリスに予選でもレースでも惨敗(リカルド37点/ノリス122点)したため、この年いっぱいで実質的に放出されたのでした。
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