その引き金を引くのは誰だ「自治体要請で撃ったのに」銃を失ったハンター咆哮 曲がり角クマ対策
一方、札幌高裁はクマを貫通した弾丸が草や石に当たり、跳ね返った可能性があると指摘。 斜面では安全を確保できず、住宅などに危険が及ぶとしたのです。 (猟友会砂川支部 池上治男支部長)「撃ったやつがさ、クマの体内を抜けて跳弾するとか言われたら、もう誰もできないよ」
この高裁判決に危機感を抱いたのが、北海道猟友会です。 (北海道猟友会 堀江篤会長)「処罰されることがあったら大変だから。今まで以上に協議を重ねて、出る出ないは判断してということになった」 自治体からの駆除要請に協力するか、各支部の判断にゆだねることにしたのです。
市街地で発砲ができず、重装備の警察官も手が出せません。 クマが運び出されるまで丸3日を要しました。 市街地に現れるクマとどう向き合うのか。
猟友会の堀江篤会長は、鈴木知事と環境省まで出向き、駆除体制の強化を求めました。 (北海道猟友会 堀江篤会長)「どこへ撃っても跳弾だよねという言葉が出てくる。どこへ撃てばいいのと。引き金を引く者が責任を負わされる」 国は市街地でも速やかにクマを駆除できるよう法改正を目指していて、ハンターに不利益が生じないような仕組みを模索しています。
では、クマ対策を担うのはいったい誰なのかー 札幌で市民らが意見を出し合いました。 参加者があげたのは「ハンター」だけではありません。 「住民」をはじめ、あらゆる人が「自分ごと」としてクマと向き合うべきではないかとの意見が出ました。
クマの専門家・佐藤喜和教授。 ハンター個人が責任を負う現状に警鐘を鳴らします。 (酪農学園大学 佐藤喜和教授)「何か問題があった場合、それが個人の責任にならないような体制ですよね。今後も民間の資格を持った人に、こういう仕事を頼んでいくのか、それとも行政として市民の安全を守るため責任を持てるような形で、そういう人を雇用できる体制にしていくのか。将来を考えていくきっかけになるような、そういう年になったと思います」